太陽がいっぱい
2018.09.26 Wednesday
先日、次はアラン・ドロン作品を見たい、と書いたらちゃんとその機会がやってきました。
昨日またしてもBSプレミアムで『太陽がいっぱい』をやっていたので録画して見ました。
アラン・ドロンのことは何にも知らなくてもこの作品が彼の主演作だということは何故か昔から知っていた有名な作品です。
当然、ストーリーもアラン・ドロンの顔も知らない為、始まってしばらくはフィリップとトムという男性2人のシーンが続くのですが、どっちがアラン・ドロン?? でした。小遊三師匠にほんのり(?)似てるのはフィリップ・グリーンリーフの方な気がするからこっちかなぁ。でも、どう見てもトムの方が若いしハンサム度で言ったらトムだなぁ、と悩んでいるうちに物語は進みトム・リプリーがアラン・ドロンだと判明しました。
何故なら、フィリップ途中で殺されちゃったので(苦笑)。
確定した瞬間、1ミリどころか1ミクロンすらも似てないよ! と思いました。希代のハンサム相手なのだから当たり前ですね。確かにびっくりするくらい綺麗ですが個人的にはちょっとクド過ぎてどちらかというと苦手な風貌でした(こらこら)。昔の名優ならハンフリー・ボガードの方が好きです。
タイトルだけでは内容がさっぱり浮かばず。どんな話かと思ったら、サスペンスというか完全犯罪を目論む話だったんですね。
貧しいアメリカ人トムが富豪の息子フィリップの父に頼まれ、イタリアで放蕩三昧の生活を続ける息子をサンフランシスコへ連れ帰れば報酬を払う、という契約を彼と結び、フィリップから僕のような扱いを受けながら彼とイタリアを旅するうちに彼を殺害し、フィリップの財産とフィアンセであるマルジュを自分のモノにすることを思い立ち実行していく物語です。
今どきの映画にすっかり慣れている身には、ちょっとのんびりした印象も受けますが、イタリアの海や街並みがとても綺麗で。青い海、白い雲ならぬ白いヨット、はらぐろうぢゃなくて(^^ゞ若い青年2人のコントラストが美しいです。
説明的な台詞は殆どなく、会話とそれぞの動きで物語が進行していくので、これはどういうことなんだろう?とあれこれ考えながら見るため、最後まで退屈することがなかったです。
何気ないシーンが後でこれはあの時のとなったり。
序盤のイヤリングもそうですが、フィリップの家でトムがフィリップの服を着て鏡に映る自分に向かって語りかけているシーンが、ただの悪ふざけではなかったとわかった時はそういうことかーと愕然としました。
中盤、トムがナポリの市場を歩くシーンが印象的でした。市場の魚を順番に映していくのですが、トムが見ている景色をそのまま見ている感じで楽しかったです。
パスポートを偽造する為にトムが粘土を使って細工するシーンは、へーなるほどと感心してしまいました。パスポートやサインの偽造等はなかなか利発だな、と思うのに殺害後の行動がけっこう抜け作で。おまけに警察の捜査も、え?そんなんでいいの? という手ぬるさで。当時のイタリアは色んな意味でのんびりしていたんだなぁと。公開当時は逃げ延びることが出来るのか? ときっと多くの人がハラハラしたんだろうな、と思うと時代が進み過ぎてそれを味わえなかったのはちょっぴり残念です。
ラスト直前の船を引き揚げるシーンは、ホラー映画ばりに怖かったです。
でも、あれはないんじゃないかなぁと冷静に突っ込みたくなったのは後世の無粋ですね。次々と罪を重ねていくにつれ、周囲の人間全てが”お前がやったことはお見通しだぞ”とでも言うようにトムには見えてくるカメラワークがいいです。
トムもフィリップも魅力的とは言い難い人物ですが、トムがフィリップを殺したいと思う気持ちはわからないでもないです。お金に対する物凄い執着もずっと貧しくてフィリップやフレディらお金持ちから見下されてばかりではそうなってしまうだろうな、という気もします。
太陽がいっぱいは、ラスト直前の台詞ですがそれを邦題にしてしまったのが憎いです。「明日に向かって撃て」「俺たちに明日はない」「未知との遭遇」etc.その邦題素敵、と思う作品は色々ありますが、これもいい邦題だと思います。
フランス映画だから、太陽が眩しかったから殺人を犯してしまった「異邦人」にひっかけたのもあったりして。
ラスト直前から♪らーソ(#)ラーファレーミファーソ の音楽が流れてきて、それがとてもしっくり来ると同時に昔からよく知っているこのメロディーはこの映画の音楽だったのかーと初めてつながったのでした。
因みに原作のアメリカ小説では、トムの完全犯罪が成立する結末だそうで。
それはそれでありだと思うので、どんな内容なのか図書館で探してみようかな。
結末がわかってもう一度見ると違う部分も見えて来そうなので、数ヶ月後にもう1回見返してみたいと思いますー。
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