パラサイト 半地下の家族
2020.01.19 Sunday
昨日、表題の映画を見てきました。
ちらっと見た予告編が面白そうだったので、これは見てみようと思い元気に動けるうちにと行きました。
とっても面白かったです。と同時に色々考えさせられる作品でした。
公開して日が経っていないのと、これは出来ればネタバレなしで見た方が楽しめると思うのでここから先は折り畳んでおきます。
まずは簡単なあらすじを。
過去に度々事業に失敗、計画性も仕事もないが楽天的な父キム・ギテク。そんな甲斐性なしの夫に強くあたる母チュンスク。大学受験に落ち続け、若さも能力も持て余している息子ギウ。美大を目指すが上手くいかず、予備校に通うお金もない娘ギジョン… しがない内職で日々を繋ぐ彼らは、“ 半地下住宅”で 暮らす貧しい4人家族だ。
“半地下”の家は、暮らしにくい。窓を開ければ、路上で散布される消毒剤が入ってくる。電波が悪い。Wi-Fiも弱い。水圧が低いからトイレが家の一番高い位置に鎮座している。家族全員、ただただ“普通の暮らし”がしたい。「僕の代わりに家庭教師をしないか?」受験経験は豊富だが学歴のないギウは、ある時、エリート大学生の友人から留学中の代打を頼まれる。“受験のプロ”のギウが向かった先は、IT企業の社長パク・ドンイク一家が暮らす高台の大豪邸だった——。
パク一家の心を掴んだギウは、続いて妹のギジョンを家庭教師として紹介する。更に、妹のギジョンはある仕掛けをしていき…“半地下住宅”で暮らすキム一家と、“ 高台の豪邸”で暮らすパク一家。この相反する2つの家族が交差した先に、想像を遥かに超える衝撃の光景が広がっていく——。公式サイトより
半地下という居住形態は韓国独特の文化だそうで。最初に半地下と聞いた時は意味がわかりませんでしたが、映像を見て納得。しかし、日本の住宅に慣れた目には想像を絶する世界でした。
ギウ達が仕掛けた計画が、驚くほど上手く運んでいく前半は喜劇要素が強く思わずくすっとしてしまいます。ギウに代打を頼んだミニョク曰く”奥様はシンプルだ”の意味が分かりすぎるくらいに伝わり、呆れるより大丈夫か、この人? と心配になりました。
根が心配性なので、けっこう早くからこんなに上手くいくはずがない、まんまと辞めさせた運転手がそのうち復讐に来るのでは? と無駄にハラハラしてました(苦笑)。
パク夫人が若い頃の深津絵里に似ていたり、どの登場人物もこんな顔立ちの人身近にいるなーという風貌の方ばかりで。外国映画なんだけれど言葉が違う邦画みたいな安心感がありました。
お金がないため、半地下で独特な匂いを身体に沁みつかせながら暮らしているけれど。キム家の人々は全員人の心を掴むのが上手く、それぞれの与えられた仕事もそつなくこなし。やっていることは詐欺師同然なんだけれど、憎めないというかこのままパク家からの収入で半地下生活から脱出できたらいいのに…と願いながら見てしまいました。
しかし、世の中そんなに上手くいくはずはなく。キャンプの夜の出来事をきっかけに物語が一気に暗転していきます。
前の凄腕家政婦さんの秘密にはびっくりしました。半地下の更に下層には本物の地下暮らしがあったとは。
のほほんとした世間知らずな感覚では、家政婦さんも相当いいお給料を得ていたはずなのに、どうして普通にアパートとか借りて暮らせないのだろう??とすごく不思議でした。その辺は、韓国の方でないとわからない社会事情とはありそうです。
また、前の家政婦夫婦とキム一家が手を結んで6人でパク家に寄生すれば皆幸せなのでは? と思うのですが。お互いあまりにも切羽詰まった状況では相手が裏切るのが当たり前で共謀なんてありえないんだな、ということをまざまざと見せつけられた気がしました。
この作品では貧富の差を居住形態はもちろんですが、匂いという目に見えないものが一番のカギとなっているのに唸らされました。
見た目や仕草は何とか取り繕うことは出来るけれど、身体に沁みついた匂いはどうやっても消すことは出来ません。そして、その匂いに最初に気づくのが幼い子供、というのにもなるほどなぁでした。
このパク家の問題児(?)とも言える息子くん。彼が全てのカギを握っていた気がします。
彼の存在がなければ、キム一家がパラサイトすることも出来なかったけれど。崩壊へのボタンを押したのも彼。もちろんわかってやっていたわけではないけれど。もしかしたら、心のどこかでそれを望んでいたのかも、と考えてしまいます。パク家は絵に描いたような幸せな一家に見えるけれど。実際はそれぞれが少しずつ何かしら問題を抱えているのが垣間見える描写があちこちにありました。
映画を見る前は、タイトルのパラサイト=寄生は、貧乏人が金持ちに寄生して金品を得る(時には不当に)という意味だと思っていました。
でも、見終わった後ではパク家の人々もキム一家とは違う意味でキム家やかつての使用人達に寄生していたのでは? と思います。
彼らなしでは自分達は食べることも寝ることもままならないパク一家。
お互いが一線を越えない限りは、それは幸せなパラサイト関係だったのに。それを壊してしまったのは、匂いという理性ではどうしようもないことだったのがうわーそうきたか、と。
大雨で汚水塗れになる人々の描写は、まるで画面から匂いが漂ってくるような凄まじさでした。
地下室の住人の存在が全てを狂わせるきっかけではあったけれど。あまりに世界が違いすぎる人々の暮らしを目の当たりにさせられて、キム家全員が虚しさとか、理不尽さに怒りを感じてしまったのは仕方がない気もします。
事件後の描写、そんな夢みたいなことがと思ったら、ギウの遠大なる夢に近い計画だとわかりほっとしたような、ほぼ叶うことはないんだろうなと思うほろ苦い気持ちが混ざった何とも表現し辛い気持ちになりました。
最初から最後まで全く飽きることなく、時間を忘れて楽しんでしまいました。あまりに集中し過ぎて見終わったら首が凝ってました(^^ゞ
最後の主題歌がちょっとボブ・ディランぽくて韓国でもこういう音楽をやる人がいるのかーと新鮮でした。
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Comments
今日 この映画見てきました!見終わったあとは 何だかモヤモヤ〜 「万引き家族」見終わった時みたいな気分になりました。 印象に残る もやもやするけど いい映画ですね
Comments
そう、見終わった後すっごくモヤモヤするのよね〜。私は食欲までちょっと減退しました(^^A
でも、いい映画だな〜としみじみ思ってしまう。不思議な魅力がありました。
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