阪急電車
2008.03.12 Wednesday
少し前から新聞広告などで見つけ、読もうと思っていたものの大きな書店になく、昨日の帰りに近くの小さな書店に置いてあるのをたまたま見つけて購入。
少しずつ読むはずが、やめられなくなり気がついたら一気読み。おかげで今日は少々寝不足でした(^^ゞ
阪急電車
有川 浩
西宮北口→門戸厄神→甲東園→仁川→小林→逆瀬川→宝塚南口→宝塚
片道わずか15分の阪急・今津線を舞台に恋の始まり、別れの兆し、人生の転機etc.電車にたまたま乗り合わせた人々が紡ぎ出すそれぞれの物語。
各物語は一見、バラバラなように見えてレールが終着駅へと繋がっているように、それぞれの物語も電車・駅という小さな空間にたまたま居合わせることにより連なり、そこから新たな話が生まれたり、その場限りの素敵な繋がり・エピソードを残しまたそれぞれの日常へと帰っていく。
私がこの本を読もうと思ったのは、ずばり舞台が今津線だったから(苦笑)。最初、タイトルと路線をつなぐ云々、という文句を見たときはてっきり神戸線だと思っていたのが、広告の下に書かれた駅名を見てびっくり。
かつてこの沿線に住み、数え切れないくらいこの電車に乗っていたモノとして、あの短い路線、小さな各駅を舞台に一体どんな物語を描くのだろう?ということがどうしても知りたかったから。
有川浩、という作者は全く知らず、本書が初めてでしたが。
冒頭の1人で電車に乗っている人の描写、そのリアルさにいきなり惹き込まれ、登場する初々しい人物たちが交わす会話の面白さに止められなくなり、折り返し地点で残りは明日にしよう、と思っていたはずが一気に読了してしまいました。
各駅・街の特徴を話に反映させた巧みなストーリー展開はお見事。ありありと情景が浮かんでくる風景描写や関西ならではのボケっぷりで笑いを取ったかと思えば、読んでて赤面するくらい可愛い恋の会話があったり。
でも、それが全く嫌味なく、あぁこういう気持ちっていいなぁ、と読んでいてこちらも微笑ましく・嬉しくなるような甘さが心地よく、読み終えたときには人を好きになるっていいなぁ、と今更なことを噛み締めてしまいました(^^ゞ。
どのエピソードも面白いのですが、中でも各話に登場する下は小さな孫娘から上は、芯がきりりと通ったおばあさんまで、様々な年代の女性達がとにかく魅力的。もちろん全てが素敵な女性ばかりではなく、中には「いるいる、こんなおばさん!」と目を顰めつつ声を大にして共感してしまう、傍若無人なおばさんも登場するけれど、どの女性たちも一生懸命「今」を考えて生きているのが伝わってきて、読み終えた後とても爽やかな、周りの人を大切にしなきゃ、という気持ちになりました。
個人的に、結婚間際の彼氏を冴えない同僚に寝取られ、結婚式に討ち入りした翔子さんと、ピンと伸ばした背筋が見えるような孫に対しても適度な距離を保っているおばあさん・時江にすごく惹かれました。
電車に乗っていて偶然耳にした会話がきっかけで、今の自分を見つめなおしたり、見ず知らずの人が何気なくかけた一言から大きなものをもらう、ないとは言い切れない、寧ろそういうことって意外とないようであったりする。
もちろん、この話に出てくるような素敵な出会いばかりではないけれど、何だか無性に電車やバス(ウチの地域はこういう私鉄の電車がないので^^ゞ)に乗って誰かに会いたくなりました。
ロクでもない事件やニュースが多く、何だか人間不信になりそうなこの頃ですが、久しぶりに人っていいなぁ、としみじみと実感した1冊です。
物語中で小林(こばやしではなく”おばやし”と読みます)が絶賛されているのですが、これには私も同意。小さくてちょっぴり田舎っぽい感じもするけれど、あったかくてとてもいい街です。食べ物も美味しいしね。もう一度あの沿線に住めるのなら、今度は小林に住みたいなー、なんて本書を読みながら思ったほど。この小林駅のツバメではないけれど、当時の今津線の駅には何故かハトがいつも沢山いて、たまに駅のベンチに座って、鳩の可愛らしい仕草をひたすら眺めているのがとにかく楽しかったことを懐かしく思い出しました。
ところで西宮北口、当時は皆”きたぐち”と呼んでましたが、今は”にしきた”というんですね。そんなところも新鮮でした。
逆瀬川の中洲にあった、”生”のモニュメント、見てみたかったなぁ。
あ、1つだけこっそり突っ込み。物語中に登場するとある学校、土曜はお休みで授業はありません
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