ノルンの永い夢
2007.03.02 Friday
先日、久しぶりに図書館に行きパラパラとめくってみて面白そうだったので借りてきた本をようやく読み終えました。
ノルンの永い夢
平谷 美樹
図書館でぱらっと見た時は、目に付いた名前などから1930〜40年代のドイツを舞台にした小説かなと思って借りてきたのですが、数ページほど読み進んでみるとSFだったのでびっくりしました(^^A
2001年秋、新世紀SF新人賞を受賞したばかりの作家・兜坂亮は、新興出版社ハイネマン書房の時野から、数学者・本間鉄太郎をモデルにした小説の執筆を依頼される。
第2次大戦下のドイツで消息を絶った本間は、高次元多胞体理論なる独自の時空論に到達していたというのだ。
取材をすすめる兜坂の周囲で、公安調査庁が不気味な活動を開始する。
いっぽう1936年のドイツ、学術都市ノルンシュタットを訪れた若き日の本間は、何かに導かれるかのように、空軍総司令官ヘルマン・ゲーリングに接近していくが…。 紀伊国屋オンラインより
SF、一時期はコナン・ドイルやフィリップ・K・ディックなどのアメリカの古典(?)系を読み漁ってましたが、最近は全くといっていいくらい遠ざかっていたので、読破できるか少々心もとなかったですが、無事最後まで読めました。
中盤くらいまでは、主人公の正体や次はどうなるのか?といったそれなりのワクワク感があって飽きさせません。
が、最後はそれぞれ少しずつ違った多次元の世界が同時進行で描かれるのでだんだん頭が混乱してきてしまい、やや読みづらく感じました。
時空を越えた空間移動を可能にする”高次元多胞体時空論”については、そういった方面にはとんと疎いので(苦笑)、辻褄が合っているかどうかとかはよくわかりませんが、中盤で主人公の正体や何故彼がそこに存在していたかというようなことが種明かしというか、色んな登場人物のつながりが明かされるくだりは、なかなか面白かったです。
ある特定の事象を避ける(変えたい)ために、時空を越えて何度も何度もその時間をやり直す、という話は以前何度か読みましたが、やればやるほど少しずつ間違ったもしくは望まない方向にどんどんずれていくのがやりきれなく。終盤で、だからこのタイトルなのかーと気づいた時に何とも切ない思いになりました。決して解決はしていないけれど、どこか希望を感じさせるラストに少しだけ救われました。
すごーくお薦めではないけれど、まぁまぁ面白い部類に入るかな。
割とどーでもいい雑学的な知識もちょっと得られた気分にもなるし。
さて、ようやく週末です。明日も出勤しかも棚卸なのでかなりきつそうだけど、気分的にはもうちょっとでお休みだーと少〜し上昇してます。
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