トワイライト
2006.04.25 Tuesday
先日から書いていた親知らず、本日とうとう抜歯してきました。
行く前は、終わったら痛くてもんどりうつんだよなー、明日からしばらく
はおかゆ生活だ、など戦々恐々でしたが、いざやってみたら、、
思いの外あっさり抜くことが出来ました(^-^)。
口腔外科の肩書きを持つ先生だから、上手いんだそうで(って自分で
言うところがすごいと思うけどね 笑)。今のところ口の中が血だらけで
鉄くさい以外は、痛み止めの効果もあって支障はありません(ほっ)。
このまま痛くなりませんように(><)。
しかし、抜いた親知らずをじっくり見させてもらったのですが、けっこう
大きい上に見事に虫歯になっていて、虫歯ってホントに黒くなるんだなー
と妙なところで感心してしまいました(^^ゞ
さて、週末に遠出をした際、日頃あまり読まない作家のモノを
読んでみようと思い立ち、
トワイライト
重松 清
を読みました。タイトルと帯の「あの頃の21世紀はもっと輝いていた」
という文字に惹かれて読んだのですが。。
泣けました。電車の中で読んだのははっきり言って大失敗。一応化粧が
はがれるから、と我慢していたのですが、それでもこらえきれず、時折
ハンカチで鼻を押さえるめちゃくちゃ怪しい人と化してしまいまし
た(苦笑)。
大阪万博が開かれた頃に小学校6年生だった、元少年少女が40歳になったら開けよう、と卒業記念に埋めたタイムカプセルを、母校の廃校がきっか
けで約束より数年早く開けるために再び集まるところから話は始まり
ます。
数十年ぶりに再会した彼らは、それぞれの姿に夢と現実の厳しさを見、
唯一の同級生カップルが引き起こす騒動に抗いながらも巻き込まれて
いく様子を温かくも厳しいタッチで描いた1冊。
万博、太陽の塔、ドラえもんをキーワードに「あなたたちは、いま幸せ
ですか?」と登場人物を通して読み手に問いかける、人によってはかなり
心を揺さぶられる内容です。
太陽の塔、と聞いても昔、学生の頃アメフトの応援に行った際、
万博記念公園の近くにそびえていたあれだよね、という認識しかない、
直接万博そのものを知らない私でも、そこに描かれた人物1人1人の
生き方に共感したり、時には憤りを感じたり、微笑ましくなったり、
彼らの目を通じ、思わず自分の○○年の人生を振り返ってしまいました。
登場人物すべてが、切ない思いを抱え、葛藤しているのですが、その
中でも不仲な両親に挟まれ、妹の面倒を見ながら大人びた言動をとらざる
を得ない千晶のけなげさは、胸がじーんとするくらいでは足りないくらい、
切ないです。
ちょっとした台詞や仕草に、色んな感情が滲んで見えて、行間というより、
描写で読ませる小説だなーと。
リストラ、不倫、仮面夫婦、不治の病、ドメスティックバイオレンス、
描かれている内容はどれも言葉にすると目を覆いたくなるようなもの
ばかりで、あの頃それぞれが色んな夢を抱えていたはずなのに、
大人になった彼らはもはや夢を見ることも、過去を振り返ることも
許されない毎日をひたすら生きていくしかないのだけれど、それでいて
ラストはどこか希望を感じさせてくれる、すがすがしい読後感を与えて
くれるのが嬉しいです。
大人たちもすごくいい味だしているのですが、唯一の同級生カップル
の娘・千晶と愛美が特に愛しいです。清少納言にならなくちゃ、という
くだりはもううるうるしっぱなしでした。
紫式部と清少納言、私も子供の頃は清少納言の方が断然好きでしたが、
そっかーその理由はこんなところにあったのか、と30年近くたって
納得しました。せつない見栄っ張り、いいじゃないですか。
あと、劇中ではどう見ても最低の男・ジャイアン。これもすごく好き
です。弱くてすぐ逃げるのに、意地っ張りで妙なところで正義感に
溢れているジャイアン。こういう人っているいる、というか途中から
すごく自分のことを言われているような気がして、負けず嫌いについて
の部分なんて、ホント穴があったら入りたい〜と思うくらいすっかり
感情移入してしまいました(^^ゞ
たくさん泣いて、色んなことを考えさせてくれた「トライライト」。
万博を体験した世代はもちろん、若い世代の方々にもきっと胸に
残る何かがあるはず。お薦めです(^-^)。
次は解説によると、これまた泣けるらしい「その日のまえに」あたり
を読んでみようかな。
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Comments
やはり親不知ぬいていらっしゃったのですね。こちらを読まずにBBSに書き込んでしまいました。^^;
「トワイライト」私も泣きましたよ。ええ、号泣しました。同じような世代で、同じように無力さと空虚さともの足りなさとそして焦りを感じるこの頃。登場人物の誰もが自分の一部分のような気がしました。
重松さんの作品はどれもこれも心に痛いです。
「その日の前に」はハンカチどころか、タオル持参で読まれた方がいいと思います。でもこれも傑作です。誰もが誰かの死を抱えて生きているんだと思いました。人生がいとおしくなる一冊です。
Comments
こちらにもありがとうございます(^-^)。
「トワイライト」まさかあんなに泣ける話だとは
思ってなくて、すっかりやられてしまいました。
重松さんの作品は恥ずかしながら初めてでしたが、
誰に対しても共感できるように、ヤな役の人でもほろりとさせられる部分がちゃんとあって、各登場人物の描き方がホントに上手いなーと思いました。
「その日の前に」はタオル必須ですか(^^ゞ
次の日に真っ赤に腫れ上がった目と鼻を気にしなくてもいいよう連休中にゆっくり読みますー。
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