ブリッジオブスパイ
2019.03.21 Thursday
週の途中に休みがあるのは有り難いとしみじみ思った本日。
朝のうちに墓参りを済ませ、午後からはのんびりと先日録画しておいた『ブリッジオブスパイ』を見ました。
何の予備知識もなく、朝ラテ欄を見て何だか面白そうだなーとりあえず録画しておこうと実行して大正解でした。
けっこう前の作品かと思ったら2016年と割と最近の作品で。冒頭の20世紀フォックスマークが出て来た途端、昨年末に散々見た『ボヘミアン・ラプソディー』の影響で無音なのに勝手にブライアン・メイのギターでお馴染みの音楽が再生されました(苦笑)。
1950年代終わりから60年代初頭の東西冷戦下を舞台に米ソスのスパイ交換を描いた作品です。いわゆるスパイものですが派手な撃ち合い等や凄惨な事件の仕掛け合いなどではなく交渉を舞台に様々な駆け引きや、人としての在り方を描いた静かなヒューマンドラマです。
簡単すぎるあらすじは
アメリカとソ連の冷戦のさなか、保険関連の敏腕弁護士ドノヴァン(トム・ハンクス)は、ソ連のスパイであるアベル(マーク・ライランス)の弁護を引き受ける。その後ドノヴァンの弁護により、アベルは死刑を免れ懲役刑となった。5年後、アメリカがソ連に送り込んだ偵察機が撃墜され、乗組員が捕獲される。ジェームズは、CIAから自分が弁護したアベルとアメリカ人乗組員のパワーズ(オースティン・ストウェル)の交換という任務を任され……。シネマトゥデイより
冒頭、いきなりブルックリンでのFBIによるアベル追跡・逮捕劇で始まり、一見ごく平凡な年老いた絵描きに見えるアベルが巧妙に隠された秘密(指令?)を受け取るシーンがなるほどなーと面白かったです。
交通事故の保険支払いについて抗議を受け、見事に相手をやりこめるドノヴァン。彼が非常に有能であることを最初に見る側に印象付けると同時にそこで彼が言う台詞が後の交渉でも使われるキーワードになっていて、上手いっとなりました。
ルールを破って逮捕したアベルを有罪ありきで形だけの審議で処刑しようとする司法や世論、国家というものに対し、例え彼がスパイであったとしても違法逮捕は不当であり、法に従って彼を1人の人間として扱わなければならないと主張し戦うジムの気概が嬉しくなると同時に、もし、似たようなことが今の日本で起きた場合にジムのような人間は現れるのか? 仮に現れたとしても国家のみならずその辺の市井の人々を含め、全力でジムを妨害葬り去るのではないか? と考えてしまいます。
裁判を通じて信頼を築いていくジムとアベルのやりとりがいいです。
それぞれが自身の信念を曲げることなく、国や立場に左右されることなく互いに相手を尊重し合う姿に惹かれます。冒頭の日常に溶け込んでいるアベルの姿や、信念を貫き通し”不安は助けになるのか”と何があっても自身に起こることを淡々と受け止める様子、彼が見せる表情にどんどん惹かれていってしまい、クライマックスの橋を渡り切った後、アベルが抱擁されるかどうか固唾を呑んで見守ってしまいました。
人質交換のシーン、なかなか進展しない緊迫感に、双方が撃ち合いアベルが死ぬなんてことは……と悲観しかけ、それだったら映画になるはずがないと思い直しました(^^ゞ
スパイは国家にひたすら忠実でそこには感情の欠片もない、と思いがちだけれど。この映画では巨大でならず者な国家がある一方で、手足として働くスパイや判事、時には政府高官でさえ単なるメッセンジャーではなく、それぞれが意思や感情を持ち、相手に対してもきちんと誠実さを各人が持ち合わせていることを描いてます。
駆け引きや交渉は、かなり泥臭く決して綺麗ごとばかりではないけれど、自身の思惑はどうあれ相手の話はしっかり聞いた上でそれぞれが判断を下していて。けれども決定権は彼らにはないため、どういう結果になるのか? というスリリングさも味わえて2時間超でしたが、最後まで退屈するどころかどんどん画面にのめり込みそうになるほど物語に引き込まれてしまいました。
東ドイツとソ連は一蓮托生なのかと思っていましたが、意外と双方不干渉な面があったり。当時の東ドイツはアメリカから国としては認められていなかったとは知りませんでした。一体、いつ何がきっかけで国として認められるようになったのか調べてみなくては。
暗くどんよりとした風景や、画面越しにも寒さが伝わってきそうな様子に当時の空気がひしひしと伝わってきました。
グリーニッケ橋のシーンは、シチュエーションは違いますが「エロイカ」の皇帝円舞曲を思い出してにやりとしました。
地味だし、笑えて楽しいっとか泣けるとかそういうのは全くないですが、いい映画を見たなー、面白かったーー! と思える作品でした。
しばらくしたらまた見返したいと思います。
- ご報告 (08/16)
- 星野源見つけた (06/20)
- ポート入れ替え (06/14)
- 再入退院とドセタキセル その3 (05/23)
- 再入退院とドセタキセル その2 (05/13)
- ご報告
⇒ ユウキ (08/22) - 星野源見つけた
⇒ しおん (06/30) - 星野源見つけた
⇒ ひろりん (06/29) - 再入退院とドセタキセル その3
⇒ しおん (05/25) - 再入退院とドセタキセル その3
⇒ さくら (05/24) - 腸閉塞
⇒ しおん (04/07) - 腸閉塞
⇒ ひろりん (04/05) - 腸閉塞
⇒ しおん (04/02) - 腸閉塞
⇒ さくら (04/02) - パラサイト 半地下の家族
⇒ しおん (02/01)
- 横浜移籍!?
⇒ ニュースブログ (07/25) - ぶらり東京紀行その2
⇒ 山野楽器! (06/15) - ぶらり東京紀行その2
⇒ 山野楽器! (06/15) - ぶらり東京紀行その2
⇒ 山野楽器! (06/15) - ギンギラギンにさりげなく
⇒ デボネア日記 (06/02) - 日本一おめでとう!!そしてさよなら
⇒ ノラ猫の老後 (10/27) - COI静岡公演
⇒ Color Pencils (10/16) - 今岡復活!!
⇒ 続「とっつあん通信」 (09/29) - 8連勝!
⇒ 続「とっつあん通信」 (09/29) - 快勝!
⇒ 続「とっつあん通信」 (09/24)
- August 2020 (1)
- June 2020 (2)
- May 2020 (3)
- April 2020 (3)
- February 2020 (3)
- January 2020 (8)
- December 2019 (6)
- November 2019 (6)
- October 2019 (7)
- September 2019 (5)
- August 2019 (10)
- July 2019 (3)
- June 2019 (8)
- May 2019 (7)
- April 2019 (4)
- March 2019 (6)
- February 2019 (5)
- January 2019 (7)
- December 2018 (5)
- November 2018 (7)
- October 2018 (7)
- September 2018 (10)
- August 2018 (9)
- July 2018 (9)
- June 2018 (9)
- May 2018 (16)
- April 2018 (7)
- March 2018 (10)
- February 2018 (8)
- January 2018 (10)
- December 2017 (11)
- November 2017 (9)
- October 2017 (9)
- September 2017 (10)
- August 2017 (10)
- July 2017 (8)
- June 2017 (8)
- May 2017 (10)
- April 2017 (9)
- March 2017 (10)
- February 2017 (8)
- January 2017 (9)
- December 2016 (11)
- November 2016 (9)
- October 2016 (14)
- September 2016 (12)
- August 2016 (11)
- July 2016 (10)
- June 2016 (12)
- May 2016 (10)
- April 2016 (11)
- March 2016 (11)
- February 2016 (10)
- January 2016 (8)
- December 2015 (13)
- November 2015 (11)
- October 2015 (13)
- September 2015 (16)
- August 2015 (11)
- July 2015 (11)
- June 2015 (12)
- May 2015 (9)
- April 2015 (9)
- March 2015 (10)
- February 2015 (9)
- January 2015 (8)
- December 2014 (10)
- November 2014 (9)
- October 2014 (12)
- September 2014 (9)
- August 2014 (15)
- July 2014 (17)
- June 2014 (19)
- May 2014 (22)
- April 2014 (20)
- March 2014 (16)
- February 2014 (17)
- January 2014 (15)
- December 2013 (10)
- November 2013 (9)
- October 2013 (8)
- September 2013 (15)
- August 2013 (12)
- July 2013 (11)
- June 2013 (12)
- May 2013 (5)
- April 2013 (15)
- March 2013 (14)
- February 2013 (12)
- January 2013 (10)
- December 2012 (13)
- November 2012 (12)
- October 2012 (9)
- September 2012 (12)
- August 2012 (11)
- July 2012 (12)
- June 2012 (12)
- May 2012 (13)
- April 2012 (13)
- March 2012 (10)
- February 2012 (15)
- January 2012 (9)
- December 2011 (12)
- November 2011 (11)
- October 2011 (13)
- September 2011 (10)
- August 2011 (9)
- July 2011 (11)
- June 2011 (28)
- May 2011 (10)
- April 2011 (10)
- March 2011 (11)
- February 2011 (9)
- January 2011 (8)
- December 2010 (11)
- November 2010 (10)
- October 2010 (18)
- September 2010 (13)
- August 2010 (8)
- July 2010 (13)
- June 2010 (12)
- May 2010 (11)
- April 2010 (11)
- March 2010 (12)
- February 2010 (17)
- January 2010 (11)
- December 2009 (15)
- November 2009 (14)
- October 2009 (16)
- September 2009 (13)
- August 2009 (10)
- July 2009 (18)
- June 2009 (15)
- May 2009 (16)
- April 2009 (16)
- March 2009 (15)
- February 2009 (15)
- January 2009 (14)
- December 2008 (16)
- November 2008 (9)
- October 2008 (15)
- September 2008 (13)
- August 2008 (11)
- July 2008 (13)
- June 2008 (18)
- May 2008 (11)
- April 2008 (14)
- March 2008 (17)
- February 2008 (12)
- January 2008 (12)
- December 2007 (20)
- November 2007 (10)
- October 2007 (14)
- September 2007 (15)
- August 2007 (13)
- July 2007 (20)
- June 2007 (15)
- May 2007 (17)
- April 2007 (18)
- March 2007 (19)
- February 2007 (18)
- January 2007 (16)
- December 2006 (16)
- November 2006 (22)
- October 2006 (23)
- September 2006 (21)
- August 2006 (25)
- July 2006 (22)
- June 2006 (25)
- May 2006 (23)
- April 2006 (20)
- March 2006 (22)
- February 2006 (19)
- January 2006 (15)
- December 2005 (15)
- November 2005 (14)
- October 2005 (18)
- September 2005 (11)
- August 2005 (10)
- July 2005 (10)
- June 2005 (11)
- May 2005 (13)
- April 2005 (9)
- March 2005 (2)
- January 2005 (2)
- December 2004 (2)
- November 2004 (2)
- October 2004 (1)
- September 2004 (1)
- August 2004 (3)
- July 2004 (1)
- June 2004 (1)
- May 2004 (2)
Post a comment