ラ・フォル・ジュルネ金沢2016
2016.05.04 Wednesday
今年のゴールデンウィークもこの季節がやってきました。
2008年から9回目の地元でのラ・フォル・ジュルネ。毎年その年の概要が発表されると、どの公演に行こうかワクワクするのですが。
今年のテーマは ナチュール〜自然と音楽〜。
何だか地元にあるケーキ店の名前みたいなタイトルだなぁ、と思いながら発表されたプログラムを見て、あらら、めっきり公演数が減った&あんまり目ぼしいものがなくなったなぁと。例年だと、おぉぉこれが地元で聴けるとはラッキーという公演がいくつか必ずあったのですが、今回は海外の演奏家や国内の著名な演奏家の名前が殆どありません。
予算の都合で難しかったのか、昨年の新幹線開通以来、金沢に観光客が溢れすぎてしまい、宿泊施設を確保することが困難になったせいなのか? わかりませんが、うーん行きたい公演がないよ、という悲しい事態に。
それでも1個ぐらいは何かあるはず、と目を凝らして見つけたのが ルイス・フェルナンド・ペレスさんのピアノ公演でした。
ベートーヴェンの「月光」とリストの小品、ドビュッシーの小品と「喜びの島」
喜びの島の生演奏はなかなかお目にかかれないので、それ目当てで行ってきました。
せっかくなので周辺で行われている、無料コンサートも聴こうと早めに行ったところ、邦楽ホール横の広場で丁度フルート、チェロ、琴という珍しいアンサンブルの公演が始まったところでした。
フルートとチェロの組み合わせは定番ですが、それに琴が加わるとどうなるのかな? と期待と不安が半々くらいでしたが、これがとっても楽しかったです。
琴が入っているので、と「浜辺の歌」や「赤とんぼ」「紅葉」と言った日本の歌曲をいくつか演奏してくれたのですが、ふつうだとフルートメインで奏でられるメロディーがお琴の独特な音色で奏でられるのが新鮮でした。
「赤とんぼ」では、お隣の老婦人が思わず口ずさんでしまいご主人の一睨みではっと口に手を当ててましたが、演奏者からすると逆に歌ってくれるのは嬉しい
んじゃないかな。
ひとしきり歌曲をやった後にヴィヴァルディの四季より「春」。中盤の速いパッセージの部分、フルートと琴が交互に掛け合いのように主旋律を奏でているのがすごくよかったです。
琴って ♪つん〜つくつくつくつ〜ん、つん〜つくつくつくつ〜ん〜、ひや〜ぁ〜〜〜〜〜♪(by つば九郎)
に代表されるような、単音を雅に演奏するイメージしかなかったのですが、両手を使って細かなパッセージを高速で演奏する姿が新鮮&衝撃でした。でも、両手が使える分、フルートやヴァイオリンで演奏するより楽ちんかも。
最期はそれまで縁の下の力持ちだったチェロメインで「さくらさくら」。
いかにもお琴な曲をチェロメインという逆転の発想が面白く、チェロの低音で聴くさくらもいいなーと。
無料公演は例年当たり外れが大きいですが、思わぬ当たりというか楽しいひとときでした。この公演、本来なら夕方だったはずが、急遽この時間に入れ替えになったそうで。おかげでいいものが聴けました。
さて、お目当てのピアノリサイタル。
今回、初めて邦楽ホールの2階で聴きましたが、丁度ピアノが視線の先にあって音も聴きやすく快適でした。邦楽ホールは2Fの方が断然お薦めかも。1F前は首が痛いし、後ろはかなり音的にもイマイチだし。
ペレスさん、遠目で頭髪が後退しているのが見えて、おじさんであることがわかりましたが、帰宅して調べてみると見た目よりは若かったです(苦笑)。
それはともかく。肝心の演奏ですが。とってもエレガントな演奏で素敵でした。
ベートーヴェンは飾り気のない、かちっとした演奏が好みですが、ペレスさんのはものすごくフランス風で優雅でしたが、これはこれで味があってよかったです。特に3楽章、下手な人が弾くとただやかましいだけになってしまいますが、ベートーヴェンにシャブリエ(ワインではなくフランスの作曲家です)を振りかけたような優雅さで美しかったです。
リストの小品は、リストの中では比較的地味な作品ですが、これもしっとりと素敵でした。
ドビュッシーは得意そうだろうなぁと期待通りの流れるような楽しさでした。
お目当ての「喜びの島」、生で聴くのは昔、ブーニンのリサイタルのアンコール以来の約20年ぶりでしたが、全体的にとても軽やかで、途中ちょこっと誤魔化した部分もありましたが、それさえも味にしてしまう感じで楽しかった〜〜。
邦楽ホールやアートホールの公演は確かいつもアンコールがあるはず、と期待していたら。
まずはショパンのノクターン嬰ハ短調
今までの本編が前座に思えるくらい、柔らかさと迫力が入り混じった演奏でした。ショパンの嬰ハ短調だと圧倒的にワルツがアンコールの定番ですが、これをアンコールで弾くあたりマニアックでいいです。
しかもドビュッシーの「月の光」や「雪の上の足跡」より遥かに長いし。とっても得した気分でした。
これだけ弾いてくれたし、これで終了だよね、あー楽しかったと拍手していたら、なんと再び登場したペレスさん。
トランペットが主題を奏で真夜中にジプシー達が踊り明かす曲、という説明で始まったスペインの音楽。
タイトルは上手く聞き取れませんでしたが、これがもう本領発揮という感じで迫力満点、ジプシーダンスだから当然、踊りたくなるくらい楽しかったです。
こういうのが生で聴けるのがこの音楽祭の醍醐味。
今年もやっぱり行けてよかったです。ありがとう!
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