絶望社会を生きる、ということ
2014.05.23 Friday
昨年12月に入院・手術を受けて、闘病が始まった時。毎晩病院のベッドで眠れない時間を過ごしながら、ずっと思っていたことが2つありました。
ひとつは、元気に動けるようになったら、誰それに会いたい、どこそこへ行きたいというもの。
もうひとつは、頑張って治療を乗り越えて再び元気になったその時、私が戻る世界はこれまでと同じく、平和でささやかな楽しみとちっぽけな希望を抱ける場所なんだろうか? もしかしたら、せっかく何とか戻ったそこは、とんでもない場所へと変容しているのではないか? ということでした。
退院し、半年間の抗がん剤治療を終えて、再び手術に臨もうとする今、自分が暮らす世界は、残念ながら病を知らずに過ごしていた頃より確実に住みづらくなってしまったのが現実です。
ずっと家にいて、普段なら仕事をしているため、その間は余計な情報も入って来ず、必要最低限のニュースくらいしか触れる機会がなかったのが。ひと月の3分の1くらいはへたって使いものにならないとはいえ、それまで見たり聞く機会すらなかったお昼の時間のニュース、真剣に向き合おうともしなかった、今、何が起きてどうなろうとしているのか? という色んな事柄が、もちろん全部は把握しきれないけれどほんの少しずつ見えて来ました。
それに比例して、このままではとんでもないことになる! という思いは膨らむものの、とりたてて何も出来ず、現状も変わらず寧ろどんどん絶望に向かって突き進むばかり、という事態にどうしようもない怒りがこみ上げるばかりでした。
成長戦略にプロ野球の球団数云々が盛り込まれる、なんてことは単なるきっかけに過ぎず。現実的に考えてもあまり実現する可能性はなさそうな事柄で。何もあんなに頭のおかしい人になってしまったかのように、振る舞う必要は全くなく。
目にした方を不快にさせただけなのは、申し訳なく思います。
1人の人間としては失格だけれど、どうしてももう怒りを抑えることが出来ませんでした。
世の中というものは、自分が望む方向へは決していかないものだ、ということは経験則として充分すぎるくらいわかっていても、昨日は、悔しくて悔しくて悔しくて。お昼ごはんも食べず、殆ど日々の生きる糧のように楽しみにしている”つばブロ”すら読まず。PCの電源を切り、テレビのニュースにも触れないようにして過ごしました。
結局、私1人が腹を立ててハンガーストライキを決行したところで、家族が困るだけなので諦めましたが。
ストレスを溜めることが身体に一番よくないことは百も承知です。昨日、悔しくて悔しくてどうしていいかわからずに怒りだけをためていたら、覿面に傷が痛くなり、体重も1キロ減ってしまいました。
今まで、これはおかしいんじゃないの? と思うことがあっても、そういう政治色が濃い話題は、敬遠される上にややもすると、この人めんどくさーい、という目で見られることがわかっているため、そういうことには口を噤んで過ごしてきました。
でも、そうやっておかしい、そんなのは嫌だ、と思いながらも自分が言わなくても誰かが何かしてくれるだろう、と思っていた結果が今の現実です。
実際、現政権が発足して次々と??? なことが起こり始めた当初も、周囲では「あんなデタラメをやっていたら(政権は)長くはもたない」と言うばかりで傍観し続け現在に至っています。もたないどころか、このまま行くと少なくとも2016年までは政権を握り続けるため、暴走は加速する一方です。
だからと言って何かの集会に参加したり、政治的な活動をする、というのではありません。そもそも、今の状態でそんなことをすること自体、無理な話です。そんな身体にものすごーく悪そうなことをするよりは、日々を楽しく過ごした方が自分も周囲も幸せに決まっています。
でも、ただ黙っているのは卑怯だと思うので、もうやめます。これはどうしてもおかしい、と思った時はこの場で自分なりの考えを書きます。
以前、憲法記念日に憲法9条について書いた時に、メディアがまともに声をあげないのがおかしい、ということを書きましたが。
ここを読んでくださっている方はご存じでしたか?
消費税の税率が4月に5%から8%へアップしたその陰で、国家公務員(約56万人)の給与が4月から平均で約8%アップした。
東日本大震災の復興にあてる名目で2012年から給与を減額していた取り組みは、消費税アップと同じタイミングで終了。
減額の期間はわずか2年間にとどまった。
一方で、同じく震災復興のためとして、国民に負担を求めた「復興特別税」は、所得税は25年間、住民税は10年間にわたってに渡り課税され続けるという不公平さ。
私自身、教えてもらうまでそんなことは寝耳に水でした。もしかしたら、へたっている間に報道されていたのかもしれませんが、それにしてもこれまでなら、大々的にそれはけしからん、的な論調で切りだす番組なり新聞なりがあった気がします。
もうひとつ、今日の朝刊の記事で初めて知ったのですが。ウチが取っている地方紙は東京新聞系列なので、東京新聞にも恐らく同様の記事が出ていると思います。
失業したり、転職した際に多くの人がお世話になる「ハローワーク」。ここの職員は公務員だとずっと思っていました。確かに以前はそうだったのですが、今はなんと派遣社員で占められているそうです。
そこで働くAさんは、ある日突然契約を打ち切ることを告げられたそうです。Aさんには思い当る節がありました。派遣社員の待遇改善を求める活動に参加しており、そのことが引き金となったようです。一方的な契約打ち切りに、どこへ訴えればよいのか上司に問うたところ。答えは「公務員にそんなものはない」というものでした。
人々に職を斡旋する仕事をしている人が、実は一番不安定な状況に置かれている。
でも、職を求めて来る人はそんなことは知らないので、当然、公務員としての責任をちゃんと果たすことを求めます。
同じ記事には、もうひとつ。とある女性派遣社員が勤務先で働き手ではなく、単なる使い捨ての”モノ”としてしか見られていなかったことに耐えきれず、派遣社員の待遇改善を求めるネットワークを立ちあげようと模索する姿が紹介されていました。
派遣労働であることの不安定さ、深刻さは随分前から問題を指摘され、一時は改善へと向かうきざしもあったのですが……。
今、政府が進めようとしている派遣に関する法案は、これまでは3年以上になる場合は正社員への道を開く、という方向だったのに、まったく真逆の3年以上になっても人や業種を変えさえすればずっと派遣のままでいい、という方向に持って行くものです。
派遣なんて、自分は正社員だし、もしくは公務員だったり、フリーランスでちゃんと働いてるし関係ないわ。と思う人もいるかもしれません。
でも、今回の法律改正で派遣の業種が飛躍的に広がり、永遠に労働力を派遣で賄えるとなったら、心ない経営者はごく一部の幹部以外は全て派遣に切り替えよう、と思う可能性はゼロではないのです。それを抑制する法律なり決まりは今のところありません。
私自身、以前、派遣制度が世の中に出来始めた頃に数年間派遣社員というものを経験し、その時に色んなことを思いました。
恐らく、今の派遣を取り巻く状況というのは、私が経験した頃よりずっともっと深刻なのだと思います。もちろん、敢えて派遣という形態を選択している人がいることは否定しません。でも、それは全体から見ればごく僅か。多くの人はきちんと安定した雇用を得たい、と思ってもがいています。
そんな人々の思いをくみ取り、改善するのではなく、もっと酷い状況に追い込もうとするのが正しい道なのでしょうか?
某男性デュオの片割れが麻薬で捕まったことなんてどうでもいいです。
どのみち、芸能人がその手のことでお縄になったところで、びっくりするくらいあっさりと復帰をしてくるわけで。彼の動向についてなんて、ファンの方が心配し支えたいのなら支えればいいだけです。
この件について思うことは、許し難いことだけれど楽曲に罪はない、チャゲが気の毒だな、くらいです。
本当に伝えなければいけないことには、目をつぶってやり過ごし、最もどうでもいい芸能人のゴシップを延々垂れ流し続けるなんて、何かがおかし過ぎる気がします。
誰だって、面倒なことややこしいこと、困難なことを考えるのはイヤです。
でも、あれれ? これって何か変じゃないのかなぁ……と思っても面倒だからいいや、と逃げていたら何も変わらないどころか、気がついたら後戻りが出来ない状況になることだってこの先、充分あり得るんです。
ただ、何も考えずに日々流されるのではなく、少しでも自分が暮らす社会について考える人が増えたらいいな、と思うだけです。
人はそれぞれ考え方が違うので、私は何が何でも今の政権に賛成、それを支持します、というのもアリでしょう。
憲法改正にしても、私自身は反対ですが、国民投票で賛成多数で可決されるのであれば、それはもう仕方がありません。けれども、それもせず無理矢理解釈を捻じ曲げるのだけは許せません。
人は簡単には死ねません。いくら私が今の社会に幻滅したり、絶望しか見出せなくても寿命が来るまでは生きなければなりません。
その日が来るまで、歯ぎしりしながらも、ささやかな楽しみを見つけながらこれからも暮らして行くことでしょう。
ただ、この先、万が一日本が戦争を始めたり、戦争に加担するような事態になった時まで私の命の灯が消えないのなら、その時は生きることをやめるかもしれません。そんなくだらない抵抗なんか無意味だと思っても、これだけは決して譲れない一線です。
しちめんどうくさい文章を長々とここまで読んでくださってありがとうございました。
明日以降は、またいつものブログに戻ります。
- ご報告 (08/16)
- 星野源見つけた (06/20)
- ポート入れ替え (06/14)
- 再入退院とドセタキセル その3 (05/23)
- 再入退院とドセタキセル その2 (05/13)
- ご報告
⇒ ユウキ (08/22) - 星野源見つけた
⇒ しおん (06/30) - 星野源見つけた
⇒ ひろりん (06/29) - 再入退院とドセタキセル その3
⇒ しおん (05/25) - 再入退院とドセタキセル その3
⇒ さくら (05/24) - 腸閉塞
⇒ しおん (04/07) - 腸閉塞
⇒ ひろりん (04/05) - 腸閉塞
⇒ しおん (04/02) - 腸閉塞
⇒ さくら (04/02) - パラサイト 半地下の家族
⇒ しおん (02/01)
- 横浜移籍!?
⇒ ニュースブログ (07/25) - ぶらり東京紀行その2
⇒ 山野楽器! (06/15) - ぶらり東京紀行その2
⇒ 山野楽器! (06/15) - ぶらり東京紀行その2
⇒ 山野楽器! (06/15) - ギンギラギンにさりげなく
⇒ デボネア日記 (06/02) - 日本一おめでとう!!そしてさよなら
⇒ ノラ猫の老後 (10/27) - COI静岡公演
⇒ Color Pencils (10/16) - 今岡復活!!
⇒ 続「とっつあん通信」 (09/29) - 8連勝!
⇒ 続「とっつあん通信」 (09/29) - 快勝!
⇒ 続「とっつあん通信」 (09/24)
- August 2020 (1)
- June 2020 (2)
- May 2020 (3)
- April 2020 (3)
- February 2020 (3)
- January 2020 (8)
- December 2019 (6)
- November 2019 (6)
- October 2019 (7)
- September 2019 (5)
- August 2019 (10)
- July 2019 (3)
- June 2019 (8)
- May 2019 (7)
- April 2019 (4)
- March 2019 (6)
- February 2019 (5)
- January 2019 (7)
- December 2018 (5)
- November 2018 (7)
- October 2018 (7)
- September 2018 (10)
- August 2018 (9)
- July 2018 (9)
- June 2018 (9)
- May 2018 (16)
- April 2018 (7)
- March 2018 (10)
- February 2018 (8)
- January 2018 (10)
- December 2017 (11)
- November 2017 (9)
- October 2017 (9)
- September 2017 (10)
- August 2017 (10)
- July 2017 (8)
- June 2017 (8)
- May 2017 (10)
- April 2017 (9)
- March 2017 (10)
- February 2017 (8)
- January 2017 (9)
- December 2016 (11)
- November 2016 (9)
- October 2016 (14)
- September 2016 (12)
- August 2016 (11)
- July 2016 (10)
- June 2016 (12)
- May 2016 (10)
- April 2016 (11)
- March 2016 (11)
- February 2016 (10)
- January 2016 (8)
- December 2015 (13)
- November 2015 (11)
- October 2015 (13)
- September 2015 (16)
- August 2015 (11)
- July 2015 (11)
- June 2015 (12)
- May 2015 (9)
- April 2015 (9)
- March 2015 (10)
- February 2015 (9)
- January 2015 (8)
- December 2014 (10)
- November 2014 (9)
- October 2014 (12)
- September 2014 (9)
- August 2014 (15)
- July 2014 (17)
- June 2014 (19)
- May 2014 (22)
- April 2014 (20)
- March 2014 (16)
- February 2014 (17)
- January 2014 (15)
- December 2013 (10)
- November 2013 (9)
- October 2013 (8)
- September 2013 (15)
- August 2013 (12)
- July 2013 (11)
- June 2013 (12)
- May 2013 (5)
- April 2013 (15)
- March 2013 (14)
- February 2013 (12)
- January 2013 (10)
- December 2012 (13)
- November 2012 (12)
- October 2012 (9)
- September 2012 (12)
- August 2012 (11)
- July 2012 (12)
- June 2012 (12)
- May 2012 (13)
- April 2012 (13)
- March 2012 (10)
- February 2012 (15)
- January 2012 (9)
- December 2011 (12)
- November 2011 (11)
- October 2011 (13)
- September 2011 (10)
- August 2011 (9)
- July 2011 (11)
- June 2011 (28)
- May 2011 (10)
- April 2011 (10)
- March 2011 (11)
- February 2011 (9)
- January 2011 (8)
- December 2010 (11)
- November 2010 (10)
- October 2010 (18)
- September 2010 (13)
- August 2010 (8)
- July 2010 (13)
- June 2010 (12)
- May 2010 (11)
- April 2010 (11)
- March 2010 (12)
- February 2010 (17)
- January 2010 (11)
- December 2009 (15)
- November 2009 (14)
- October 2009 (16)
- September 2009 (13)
- August 2009 (10)
- July 2009 (18)
- June 2009 (15)
- May 2009 (16)
- April 2009 (16)
- March 2009 (15)
- February 2009 (15)
- January 2009 (14)
- December 2008 (16)
- November 2008 (9)
- October 2008 (15)
- September 2008 (13)
- August 2008 (11)
- July 2008 (13)
- June 2008 (18)
- May 2008 (11)
- April 2008 (14)
- March 2008 (17)
- February 2008 (12)
- January 2008 (12)
- December 2007 (20)
- November 2007 (10)
- October 2007 (14)
- September 2007 (15)
- August 2007 (13)
- July 2007 (20)
- June 2007 (15)
- May 2007 (17)
- April 2007 (18)
- March 2007 (19)
- February 2007 (18)
- January 2007 (16)
- December 2006 (16)
- November 2006 (22)
- October 2006 (23)
- September 2006 (21)
- August 2006 (25)
- July 2006 (22)
- June 2006 (25)
- May 2006 (23)
- April 2006 (20)
- March 2006 (22)
- February 2006 (19)
- January 2006 (15)
- December 2005 (15)
- November 2005 (14)
- October 2005 (18)
- September 2005 (11)
- August 2005 (10)
- July 2005 (10)
- June 2005 (11)
- May 2005 (13)
- April 2005 (9)
- March 2005 (2)
- January 2005 (2)
- December 2004 (2)
- November 2004 (2)
- October 2004 (1)
- September 2004 (1)
- August 2004 (3)
- July 2004 (1)
- June 2004 (1)
- May 2004 (2)
Post a comment