三匹のおっさん
2014.02.06 Thursday
今冬は、これまで経験したことがないくらい雪がなく。地球環境という点では明らかな異常だけれど、日々の暮らしからすると甚だありがたい状況が続いていたのですが。昨日からの大寒波により、とうとう冬らしい雪が積もることになってしまいました。
まぁでもギリギリ雪かきをしなくても済んでいるだけいいんだけれどね。でも、雪が降っていると散歩にも行けないし何より寒いので、早く寒波が去ってくれることを願ってます。
さて、今日は久しぶりに本の紹介です。
入院以来、これまで好んで読んでいた眉間に皺が寄ったり、じっくり読ませるような本がしんどくて読めなくなり。さらさら〜っと読める本ということで、入院中に家族が内田康夫の「北の街物語」を持ってきてくれたのを皮切りに、すっかり浅見光彦シリーズを読む羽目になり(苦笑)。
半世紀以上も続いている、言わずと知れた内田康夫の代表シリーズですが、現在のところ114作品が出版されているうちの、なんと56作品をこの1ヶ月半ほどで読破してしまいうという呆れた状態に。
このシリーズ、近年の作品こそ色々お洒落なタイトルがついていますが、それまではほぼ「札幌殺人事件」のように地名や伝説+殺人事件というタイトルが殆どで。いつ見ても「○○殺人事件」という恐ろしい名前の本ばかり読んでいる事態を心配した姉が、たまたまその時図書館から借りていた伊坂幸太郎のファンタジー系の小説(これも面白かった)を貸してくれた以外は、来る日も来る日も何とか殺人事件を読んでいるという(大汗)。
さすがに自分でも、これはちょっとマズイなぁそろそろもっと楽しい本を読もう、というわけで先日書店に行った際に、以前から読もうと思っていたタイトルの本を購入してきました。
ちなみに有川浩のこの小説、現在テレビ東京系でドラマ化されたものが放映中だそうで。テレ東は視聴圏外なので、ドラマに影響されることもなくいつものように物語世界を堪能できました。
有川浩といえば、昨年読んだ「キケン」がとても面白かったのですが、この作品はそれ以上に楽しかったです。
「三匹のおっさん」というタイトルが示すとおり、主人公はこの手の作品では珍しいおじさん三人。大まかなあらすじは文庫本の裏表紙から引用です。
還暦ぐらいでジジイの箱に蹴り込まれてたまるか! 定年を迎えて一念発起した剣道の達人・キヨ、経営する居酒屋も息子に任せられるようになってきた柔道の達人・シゲ、遅くできた一人娘を溺愛する町工場経営者で機械をいじらせたら右に出るものナシの頭脳派・ノリ。かつての悪ガキ三人組が結成した自警団が、痴漢、詐欺、動物虐待などご町内にはびこる悪を成敗! その活躍はやがてキヨの息子夫婦や孫の祐希、ノリの愛娘・早苗らにも影響を与えてゆき……。
まぁ平たく言えば、おっさん三人による、ご町内世直し劇なのですが、これがすごくイイ味を出しています。それぞれものすごくクセのある人物ばかりだけれど、これがまた愛すべき面をいっぱい持っており、読み進むうちにすっかり惹き込まれていきます。おっさんだけでなく、各話に登場する人物達も実に多彩で。それぞれが色んな背景を抱えていて、各人の関係が話が進むにつれ、少しずつ変化していく過程も見どころです。
特に、キヨと孫・祐希の小さい頃は仲の良い祖父と孫だった関係が、いつの間にか”口うるさいジジイ”と”可愛げのない躾のなっていない孫”として互いに煙たい存在となっていたのが、自警団の活動を通して一歩進んだ関係へと変化していくのには思わずホロリとさせられます。
全六話からなる物語はそれぞれが独立しているようで、根っこの部分でつながっていて。どれも面白く読ませる話になっていますが、個人的には三話がお気にいり。実は、この三話、児玉清さんもかつてラジオ番組で絶賛していたそうで。その内容が巻末に収録されているですが、彼が熱く語るその内容にまるっと共感してしまいました。
三匹の中では、ガタイはともかく派手さがない分、他の二匹に比べていくぶん地味な印象のシゲこと立花重雄が主人公というか、彼の妻がメインのお話なのですが、この二人の距離感というか関係がとても素敵なのです。
ラスト近くで迎えに来たシゲに登美子が言った「ジャージじゃない服着てちょうだいよ」という台詞に涙腺が決壊しました(^^ゞ
いや、普通の人はシゲの「一緒の墓ァ入ろうな、登美子」の方にぐっとくると思うのですが、それまでの話の流れでシゲの人となりがわかっているだけにジャージの方に反応してしまいました。
小柄でガテン系はからきしだけれど、実はものすごい頭脳派というか、いわゆる改造マニアで最も危険な人物である第三の男・ノリもいいです。
歩く危険物みたいな、火がついたら最も怖い面を持ち合わせているクセに、孫のアドバイスで一気に垢ぬけてしまったキヨにさりげなく対抗意識を燃やしているお茶目な面もあったりして。こういうおっさん達が身近にいたら、鬱陶しいけれど楽しいだろうなーと思わずにはいられません。
ふざけているようで、さりげなく現代社会が抱える問題も指摘されていたり。
漫画みたいと笑いながら、でも読み終わった後にとても幸せなあったかい気持ちになれる1冊です。
このおっさんモノ、「三匹のおっさん、ふたたび」が既に出ているそうで。そちらが文庫になるのが今から楽しみです。
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Comments
いよいよ、オリンピックですね。
いい笑顔が見れるといいですね。
有川さん繋がりで『シアター』(少劇団のお話しですが)
笑ってほっこりします。また、時代小説なんですが
山本周五郎の短編、読みやすく終わり方が全て良いのでじーんときます。高橋三千綱さんの『フェアウェイの涙』これも短編ですが、絶対泣いてしまう(悲しい方ではなく)作品でオススメです。
Comments
こんばんは。オリンピック開幕しましたね。
個人的にはあんまりメダルがどうのこうのより、終わってみて皆がいいオリンピックだったなーと思える日々であってほしいなと思います。
「シアター」以前、書店で平積みになっているのを見ましたが笑える話なんですね。今度みてみたいと思います。
他にも色々オススメ作品の紹介、ありがとうございます♪
Comments
こんにちは(^^)。
「3匹のおっさん」面白そうですね〜!
今、ドラマでもやられているヤツですか?なんとなく、タイトルのイケてなさ加減や(^^;)、おじさんが主人公か〜、とあまりひかれなくて、なんとなく敬遠していましたが、紫苑さんの感想を読むと、ぜひ読んでみたくなりました。
気が付くと、最近本を手に取ることが極端に減って、気になる本を買っては本棚に並べている現状だったので、試験も終わったことだし、久しぶりにゆっくり読書したくなりました。
今度、本屋で探してみます!
いつもながらのわかりやすく、そそられる本の紹介、ありがとうございました(^^)。
Comments
「3匹のおっさん」面白かったですよー。そうです、ドラマ化されているみたいで文庫版の帯にも書かれてました。
タイトル確かにイケてないですけど(^^ゞ、還暦のおじさん達が主人公でカッコイイタイトルがついている方がイヤかも(笑)。
私もずいぶん前にオススメですよ、と紹介してもらってから読むまでずいぶん時間がかかってますが、ほんとに面白かったので、さくらさんにも合うといいなーと思ってます(^-^)
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