ヒエラルキー
2013.08.06 Tuesday
今年の直木賞受賞後に某新聞に載っていたインタビューに興味をひかれたので、前から気になっていた本を読んでみました。
桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)
朝井 リョウ
単行本が出た時から、斬新(?)なタイトルにどんな内容なんだろう? と気になっていたのですが、如何せん今更そんな高校生の部活の話はどう考えても対象年齢外です、と言われている気がして(^^ゞ書店で平積みされている表紙も学ランの男子高校生だったし。ずっと敬遠しておりました。 これ、先ごろ映画化されたようですが、文庫版のあとがきで、映画監督がタイトルから、まさに私が上に書いたような気遅れ感を抱き、お呼びでないと思っていた、と書いていたのがやっぱりそうだよねーと笑えました。
さて、内容は数人の生徒に焦点を当てたオムニバス形式で彼らの高校生活の一部がつづられるというもの。既にこの本について書いている方の殆どが触れているとおり、桐島くんは出て来ません。どーでもいいですが”キリシマ”と書いて変換したら当たり前のように元大関の名前が出ました(笑)。うん、キリシマって言ったら100%あのイケメン関取が浮かぶ世代です。
記事を書くにあたり、熱帯のレビューをざっと見たのですが、びっくりするくらい賛否両論が綺麗に分かれていました。個人的には思ったより読みやすくて面白かったです。まぁ桐島君が部活をやめることについてのすったもんだ的な話を予想していたので、それがかすりもしなかった部分は確かに肩透かしを食らったような気がしないでもないけれど。
イマドキ(と言っても既に作品が世に出てから月日が流れているので今はもっと違うんだろうけど)の高校生ってこんな感じなのかー、といちいち新鮮でした。
君たちは真っ白なキャンパスです、って未だに校長先生ってこんなこと言ってるんだと思うと、そりゃー醒めた現代っ子には受けないよなぁと妙に納得したり。
ただ、ここまでヒエラルキーがはっきりしている世界が現実なら、自分は早くに生まれてきてよかったな、としみじみ思ってしまいました。
高校って、生徒がランク付けされる。目立つ人は目立つ人と仲良くなり、目立たない人は目立たない人と仲良くなる。自分は誰より「上」で誰より「下」でっていうのは、クラスに入った瞬間なぜだかわかる。
という文がキーパーソンの1人でもある映画部の前田くんの章で彼のモノローグとして語られるのですが。こりゃ、たまらんわーというのが率直な感想でした。
ランク付け、振り返ってみれば確かにあったのかもしれないけれど。そんな厳密なモノではなく。成績は悪いよりいい方がいいし、見てくれもいいにこしたことはないけど、それだけでその子の価値が決まる、とかそんなアホな基準はなかった気がします。そもそも目立たない人は目立つ人と会話すら出来ない、なんてそんなことはなかったんじゃないかなぁ。
極端に運動が下手な男子がいたとしても、それをあからさまにバカにするような子もいなかったな。イケメン君はやっぱり美人や可愛い子とも気軽に会話してる、とかそれくらいならあったけど(逆もしかり)。
まぁ部活ばっかりしてた上に、元々我が道を行くタイプだったので、あんまりクラスのそういう雰囲気とか単純に気づいてなかっただけかもしれないけど(汗)。格別嫌な思いをしたこともなかったので、概ね恵まれた高校生活だったんでしょう。って本の内容と関係なくなってますね。
映画部の二人は、作中ではイケてない子の代表格として登場するのですが、私は逆にこの子達が一番読んでて共感できるというか、素敵に思いましたよ(ははは)。あと宏樹くんの今後にも期待大です。
最終的に何かが解決したわけではないけれど、最後の話と文庫化にあたり書き加えられた1篇が希望の光を感じさせる内容だったおかげで読後感はけっこうすっきりでした。
今のところ、朝井リョウ氏は高校や大学を舞台にした小説が殆どのようですが、次はそういうところから離れた題材でどんな物語を紡ぐのか、そういうものを読んでみたいです。
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