アルゴ
2013.02.24 Sunday
「アルゴ」を見て来ました。
先日地元のタウン誌で紹介されていたのを見て、これはきっとドストライク〜と思い公開館を探したところ、なんとユナイテッドシネマのみ。
15日のファン感謝デーを狙って行ってきました。
首都圏などでは既に昨年公開されていたそうですが、こちらは今回が初公開。アカデミー賞の複数部門でノミネートされたため、俄然注目を集めているそうで。
ま、それはともかく。当初の予感通りとても面白かったです。
この映画については、ネタバレせずに感想を書くのはどう考えても無理だったため、ここから先は思いっきりネタバレになります。
なので、それでもいいよという方のみどうぞ〜。
合言葉は「アルゴ、クソ食らえ!」。
1979年11月、革命により政情不穏が続くイランでアメリカ大使館をホメイニ師を指導者とするシーア派が主流の反体制派が占拠、大使館員を人質に取る事件が起こった。前国王であったパーレビが末期癌の治療という名目でアメリカに亡命したことに抗議した民衆が、国王の奪還を求めての行動だった。
イランとの正面衝突を避けたいアメリカは武力行使を避け、話し合いで解決を図ろうとするが、事態は混迷を深めなかなか進展しない。
そんな中、占拠されようとする大使館から6人の外交官が脱出し、カナダ大使の私邸に匿われていることが伝えられる。捕まれば即、処刑が確実な彼らを救おうと国防省はCIAに応援を要請。人質奪還のプロ、トニー・メンデス(ベン・アフレック)が立てた計画はなんと、架空の映画の撮影でイランを訪れ、6人をロケハンのメンバーとしてそのまま本国へ帰国される、という仰天のシナリオだった。
最初は難色を示した上層部及び国防省幹部を説得したトニーは、早速友人である特殊メイクの第一人者、ジョン・チェンバース(ジョン・グッドマン)の伝手で協力を得ることに成功した大物プロデューサー、レスター(アラン・アーキン)の3人で事務所を立ち上げ、ハリウッドをも騙す架空の映画製作を開始した……。
冒頭、イランの歴史がさらっと語られ、イランという国にさほど馴染みがない私のような人でも何故、この事件が起きたのかという背景がすっと入って来ます。続いてテヘラン市内の様子に切り替わり、群衆が大使館を占拠していくシーンが圧巻でした。こちらは完全な傍観者なのに、まさに自分に向かって群衆が押し寄せてくるかのような恐怖に襲われました。
どんどん群衆が押し寄せて来るのに、ギリギリまで書類の処分に追われる大使館員達。そんなことしないで早く逃げなきゃ、と思ってしまったのですが、何故彼らがその作業に躍起になっていたのか、後半で明らかになった時、別の怖さがありました。
冒頭はシリアスながら、続く人質奪還のためのシナリオを組み立てていくくだりは、けっこうコメディータッチで。これからバンバン超大ヒットを飛ばすハリウッドが元気だった時代の空気が感じられてなかなか楽しかったです。
トニーが人質救出のシナリオを思いつくきっかけは、テレビで流れていたとある有名映画なのですが、そこからあれに行くのかーと思うと可笑しいやら感心するやら。
ニセ映画を作り上げて行く過程は、映画製作の初期段階の裏側を垣間見られたような美味しさがありました。さりげなく色んなところにシニカルな味を仕込んであるのが上手いなぁと。
後半のいざ、救出作戦決行からは一転して抑えた緊迫感がずっと続くのが心地よかったです。実際の事件を元にしているので、サスペンスやスパイものにありがちな過剰なスリルがなく、静かな緊迫感が続くことになるのですが、これがけっこうじわじわきました。
007やMIシリーズのスパイものを見慣れているせいで、スパイというと情報戦やドンパチをつい連想してしまいますが、CIAにはこういう役割もあるんだな、と今更ながら納得です。個人的にニヤリとしてしまったのは、決行寸前に出された中止命令を覆すべく、CIA職員達が大統領補佐官と必死に連絡を取ろうとするシーン。そうか、その手があったかーと。さすがスパイ!と妙なところで感心してしまいました。
失敗すれば確実に死が待つ作戦決行に踏みきれない人質メンバーを説得するべく、トニーがとった行動もよかったな。スパイとすればご法度だけれど、それをすることで信頼を勝ち得る。これも任務至上主義の一つのやり方だな、と納得でした。
トニー役のベン・アフレックも良かったですが、個人的にはチェンバース役のジョン・グッドマンが最高でした。あと、トニーの上司も演技がどうこうじゃなくて、上司としてとってもカッコ良くて惚れました。
アメリカという国そのものは、好きになれない部分がたくさんあるけれど。一大事が起こった時の大統領の決断の速さは、よく映画の題材になる部分ですがやはり羨ましいし、そこがアメリカの良さだなーと改めて思いました。
カーターの前はフォードで、後はレーガンだったっけ? と映画を見ながら歴代の大統領を振り返ってしまいました。どうでもいいえですが、子供心にカーターさんの笑顔が好きでした。
事件が起きた当時は子供だったため、当時の空気感まではわかりませんが、登場人物の服装や使われている道具や電話が、やけに懐かしく。こういう電話「刑事コロンボ」でもよく見たなー、と。
人質事件があったこともうろ覚えで何となくホメイニ師が怖い、という勝手な印象だけがあったのですが、何故そう思ってしまったのか、この映画を見てわかった気がします。
最後のエンドロールで当時の実際のニュース映像や、トニー以外の登場人物の本物の写真が流れるのですが、そのどれもがあまりに映画のシーンや、俳優達にそっくりだったことにはびっくりでした。
実在の人物を扱った作品では、毎回これでもか、というくらいそっくりに役作りをされていることが多いですが、今回のはあまりに似すぎていて怖いくらいでした。最後の最後、この事件に一番深く関わった人物が声のみですが登場したのも感慨深いものがありました。
とても面白く、見ごたえがある映画で作品としてはとても楽しめましたが、手放しでよかったーーー!と喜べないのは、やっぱりこの映画というか事件の背景にあるものをあれこれ考えてしまうから。
イランでは、アメリカ側から見たイランという国に対する捏造だ、という声も上がり対抗する作品も製作されたそうですが。確かに、アメリカ側から見たアメリカに都合のよい風に作られている面もあり、どうしても人質側の視点で見てしまいますが、冒頭のほんの短い部分や、途中、人質自身がこの事件の是非を論じ合うシーンなど、完全なアメリカ礼賛主義には徹していない気がします。
たまたま、今回、レスリングがオリンピック種目から外される可能性が高い、ということでアメリカとイランがタッグを組む、でも政治的にはNO! という記事が出ていたりしますが。この事件が後のイラン・イラク戦争や湾岸戦争のきっかけになったことは間違いなく。楽しめた反面、改めて色んなことを考えさせられた作品でした。
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