ごきげんいかが？

少し前になりますが、「ローマ法王の休日」という映画を見てきました。

「私が生きる肌」を見に行った際、近日上映作品としてこの映画が大々的に取り上げられており、紹介文等を見る限り何だかとっても面白そう、と思い公開を楽しみにしていました。

単館上映で全国を回っている小作品なので、そんなに興味がある方は少ないと思いますが。まだまだこれから公開の地方も意外とけっこうあったので一応ここから先は折りたたんでおきます。

ローマ法王が亡くなり、新しい法王を選出するため各国の枢機卿がヴァチカンに集められた。全員が心の中では法王に選ばれないようにと祈る中、誰もが予想外だったメルヴィル（ミシェル・ピッコリ）が新法王に選出される。サン・ピエトロ広場に集まった群衆たちを前にバルコニーで就任演説をしなくてはならないメルヴィルだったが、重圧のあまり街へ逃げ出してしまい……。Yahoo!映画より

「ローマの休日」と言えば、Ｏ・ヘップバーン扮する王女が外遊先であるローマで逃げ出し、そこで偶然出会った新聞記者と１日限りの恋に落ちる様を描いた有名すぎる古典名作映画ですが。
今回のは「ローマ法王の休日」。と来れば、アン王女の法王様版かーと思う人も多いはず。私も漏れなく、まさか法王様が恋に落ちるとは思いませんが、そんな感じの重圧に負けて逃げ出した法王様が市井の人々と触れ合ううち、自分を取り戻して行くような、ハートフルなほのぼのしたコメディータッチのストーリーを勝手に想像していました。

が、しかし。それがものの見事に裏切られました。ラストシーンに唖然とし、しばし「えぇっこれで終わり！？」と思いながらエンドロールを最後まで見てました。映画館を出てからしばらくも「うーん……」と思ったのですが、そのうちふと良くも悪くも従来の日本の映画やドラマ、ハリウッド作品にありがちな予定調和的なストーリーに慣れ切っていた自分に気づき、これはこれでいいんだと思えるようになりました。

もやっとする気持ちがないと言えばウソになりますが。それでも日頃馴染みが薄い枢機卿達の様子が映画を通してたっぷり見られたり、コンクラーベでの思いの外人間臭すぎる様子はなかなか興味深いものがありました。
中盤、法王の正式就任挨拶を待つ間の時間つぶしとして、セラピストが計画した地域対抗バレーボール大会のシーンは、意外とぐっとくる場面もあったりしてよかったです。
枢機卿やコンクラーベについては、数年前に大ヒットした「ダヴィンチ・コード」シリーズでも出て来たので、それで得た程度の知識しかありませんが、それでも充分楽しめました。ただ、カトリックや枢機卿という言葉自体を全く知らないとちょっと面食らうかも。
あと、演劇がキーとなる部分が多々あるので、演劇に詳しい人はより深く法王の心情などその辺を理解しやすいのかもしれません。残念ながら、全くの無知なのでこの台詞や演劇の題材が何かをかけているんだろうなぁ……と想像するのみでした。

法王様も人間だった、とかそんなありきたりな結論ではなく。メルヴィルがとった行動は現実にはありえないことだし、あってはならないことだけれども。
出来もしないことを責任感という名目だけで突っ走るよりは、己が何者であるかを知り、それにきちんと向き合った彼の姿は見方を変えれば凄いというか評価できるような気がします。

それにしても、あの後法王庁やバチカンはどうなったんだろう？　とその後を想像するのも楽しいかも。