OEK第321回定期公演
2012.05.24 Thursday
今夜は身内からOEKの定期公演のチケットが回って来たので行ってきました。
本日の目玉はなんといってもベルリン・フィルの首席トランペット奏者ガボール・タケルヴィ。チケットが回って来た理由もこれだったり(笑)。
曲目はどれも知らないものばかりでしたが、トランペット協奏曲2曲、ということでふたつ返事で即答でした。
というわけで本日の演目です。
ボッケリーニ 交響曲ニ長調「悪魔の家」
タルティーニ トランペット協奏曲ニ長調
独奏:ガボール・タケルヴィ
休憩を挟んで
ネルーダ トランペットと弦楽のための協奏曲変ホ長調
独奏 : ガボール・タケルヴィ
ハイドン 交響曲55番 変ホ長調「校長先生」
指揮:下野竜也、管弦楽:オーケストラ・アンサンブル金沢
と、ここまで書いてお気づきでしょうか。
そう、本日は1部がD-dur、2部がEs-durで綺麗に統一されているのです。
ボッケリーニはメヌエットや小品ならむかーし練習したけど、交響曲なんて知らないなーと思ったのですが。
バロック編成の少人数での演奏でしたが、なかなか面白く聴きやすい曲でした。
悪魔の家とありましたが、あまり悪魔的な感じはしなかったなぁ(^^ゞ
本日の主役、タケルヴィ氏の登場です。
どんな人か知らなかったので、勝手に太鼓腹の人を想像していたら、至って普通の体型の人でした。
タルティーニは、バロック後期〜古典の時代を生きた人だそうで。曲調もバロックそのものという感じ。雰囲気としてはブランデンブルグ協奏曲の3番とかに近い感じでトランペットが軽やかに宮廷音楽を奏でます。
音色としてはピッコロトランペットに近いものがあり、でも手にしているのは紛れもなく金色のトランペットで。
バーンと迫力があるのではないけれど(そもそもそんな音色だと曲に合わない)音にとても伸びがあって聴いていてとにかく気持ちが良かったです。
跳躍の滑らかさや本当は難しい高速パッセージも軽やかに吹きこなしていくので、綺麗な音色だなー楽しいなーと思ううち、どんどん曲は進んで行き。ひたすら心地よさが残る演奏でした。
休憩を挟んで再びタケルヴィ氏の登場。
今度は銀色のトランペットを携えてます。その昔、金と銀では音色が違うと言われたのですが、どっちがどうだったか忘れました(^^ゞ。もちろんピアノだってヴァイオリンだって色や材質によって全然違うし、きっと木管楽器だってそうだと思います。
1部のいかにもバロック的な演奏とは違い、今度はトランペットらしい音をたっぷり聴かせてくれました。
柔らかくて伸びがあって、もっと他にいい形容詞が浮かばないのがもどかしいですが、やっぱり心地よい、この一言に尽きます。
速いフレーズを一息で高音まで駆け上がっていくにつれ、顔が下から順に朱に染まりおでこまでゆでだこのようになっていくのが面白くて(苦笑)。
気持ちのよい音色にたっぷり浸りながら、お酒を飲んだ時もこんな風にすぐに赤くなるのかな? とどうでもいいことを思ってしまいました。
アンコールはヴィヴァルディのオーボエ協奏曲。
オーボエ協奏曲であることを忘れてしまうくらい、ごくごく自然に吹きこなす様が圧巻でした。こんな風に吹けたら楽しいだろうなーとしみじみ。
今回は華々しく吹きあげるのではなく、トランペットの音そのものの魅力をたっぷり聴かせてもらった演奏だったので、マーラーやシベリウス、ブラームス等の華々しく派手な楽曲やソロではどんな音を奏でるのか聴いてみたいです。
最後はハイドンの交響曲「校長先生」。
なんでこんな副題がついているんだろう? と思ったら、第二楽章の雰囲気が謹厳実直な校長先生を連想するからだそうで。
校長先生らしいかどうかは、わかりませんでしたが、その第二楽章がよかったです。木の温もりを感じさせる何とも深みのある音色で。こんな音が出せるのかーと感激でした。
続く3楽章は弦楽各パートから1名ずつのトリオで聴かせる部分があるのですが、それがちょっと残念でした
まとまるとすごい音を聴かせるのにソロになると……ってアマチュアでもよく見られる光景ですが、そこはやっぱりもう少し頑張ってほしかったな。
そんなわけで、今回は珍しくオールバロック編成によるバロック音楽の調べでしたが、たまにはこういうのもいいかも。
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