東芝グランドコンサート
2012.02.19 Sunday
今日は音楽堂で行われた、東芝グランドコンサートを聴きに行ってきました。
毎年世界の著名なオケを招いて全国を縦断してくれる、地方住みにとっては実にありがたい企画。今回はドイツの南西ドイツ放送交響楽団バーデン=バーデン&フライブルクと神尾真由子or萩原麻未の共演。
金沢は萩原麻未との共演でラヴェルのピアノ協奏曲。
神尾真由子でシベリウスのヴァイオリン協奏曲も羨ましい気がするけれど、それだとメインがベートーヴェンの「英雄」になってしまう上に、シベリウスのヴァイオリンコンチェルトは以前、音楽堂でギドン・クレーメルの演奏を聴き、多分あれ以上のモノが聴けることはこの先ないんじゃないか、と思えるくらい素晴らしかったので、今日の演目の方が当たりだ!と思って行きました。
ハイ、結果として大満足して帰って来ました。
管弦楽:南西ドイツ放送交響楽団バーデン=バーデン&フライブルク
指揮:フランソワ=グザヴィエ・ロト
ソリスト:萩原麻未(ピアノ)
1部はラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
この曲を生で聴けるのがすごく楽しみでした。
あまり馴染みがない曲ですが、「のだめ」の映画版でのだめが千秋と共演したかったのに、ソン・ルイと共演されてしまった時に使用されていた曲、と言えば、判る人もいるかも。
これ、とにかくラヴェルらしい、フランスらしい楽しさが詰まりまくった1曲なのです。ちょっとガーシュインに通じるような遊び心に溢れていて、パーカッションやオケを見ているだけでも楽しい。
2楽章が特に素敵でした。萩原さんの演奏は、全体的にお洒落でもっとバーンと弾かれるのかと思ったら、軽やかに柔らかくフランス語を聞いているようなタッチでした。
アンコールはショパンの「別れのワルツ」。
ものすごくフランス風味に溢れたショパンでした。これを聴いて先ほどの演奏を納得しました。これが彼女のスタイルなんだな、と。
休憩を挟んで二部なのですが、この休憩が始まっても席に残ったままの楽団員がちらほら。音出しというか軽い確認みたいな感じで、あちこちでパラパラ吹いているのが面白かったです。
そんな団員をよそに、ステージ上では二部に備えてピアノを片づけ、椅子を並べ直していたのですが、その数がもう尋常じゃない(笑)。残っている方々はこのままずっといるのかなーと心配しかけた頃、ようやくそれぞれ袖にはけていきました。
さて、本日のメイン。ベルの音とともに団員が再びステージに登場するのですが、先ほどの椅子が暗示していたとおり、ものすごい数のメンバーがステージ狭しと並んでいました。こんなにステージに団員がいるの見たことないよ!というくらい(たまにあるOEK+別のオケの合同ステージなんかも、きっとこんな感じだと思われます)ステージ上が演奏者で溢れかえってました。
ざっと見ただけで、チューバ1、トロンボーン3(うちバストロ1)、トランペット4、ホルン7、クラリネット3(うちバスクラ1、更に1は途中Esクラ持ちかえ)、オーボエ3(うち1本はコールアングレと持ちかえ)、ファゴット3(うち1本はコントラファゴットと持ちかえ)、フルート4、コントラバス6、チェロ8、1st&2ndヴァイオリン及びビオラは多過ぎて数える気がしませんでした(^^ゞ
マーラー:交響曲 第5番 嬰ハ短調
実は、私マーラーは食わず嫌いで。まともに聴いたことはもちろん、生演奏も聞いたことがなく。何だか面倒くさそう&交響曲1番の副題が「巨人」というのが気に入らず(爆)、知っているのはそのタイトルだけで毛嫌いしている1番と、トランペットのソロが印象的なヤツのみ。で、5番てどんな曲なの? というわけで演奏会までにCDを購入して聴いてみたら……、その唯一知っているトランペットのソロで始まるあの曲でした。
一体どんな演奏を聴かせてくれるのか、緊張の一瞬でしたが、冒頭の印象的なトランペットソロでいよいよ始まりました。低音から高音へと駆け上がった途端、広がる音が何と言えず綺麗で嬉しくなっているうちに、ホルン、トロンボーンと順番にこれでもか、と吹き慣らされしょっぱなからわくわくしてしまいました。
さすがの迫力でしたが、特にホルンが素晴らしかったです。
しかし、この曲1楽章がとにかく長くて。1楽章だけで半分以上終わった気分になったところで、ホルンのトップ奏者がステージ前へと移動。
何しろ生で聞くのは初めてなので、こんな仕様なのかと新鮮でした。
1楽章は殆ど1stトランペットの為にあると言っても過言ではないくらい、要所要所でソロが入るのですが、2楽章はホルンが聴かせてくれるのです。
このソリスト、見た目はホルンそっくりな体型というか、相当立派な体型の方でしたが、ほんっと素晴らしい音を聴かせてくれました。てか、ホルンセクション全体がすごいいい音だったなぁ。
あちこちに各パートの見せ場があり、それが目まぐるしく変わるので、あっちを見たと思ったらこっちを見て、と聴く方も非常に忙しいです。(いや、別に見なくてもいいんだけど、やっぱり見たいし)楽章が進むにつれ、なんて緻密に作られた1曲なんだ、と恐れ入ってしまいました。
何て言うか、どのパートもちょっと休憩とは言わないけれど、気楽になれる部分がない。もちろん管の方々は部分によっては休符がいっぱいのところもあるけれど、ずーーっと神経を集中させていないと楽曲に置いて行かれてしまう感じです。
演奏する方だけでなく、聴く方も相当な体力がいる曲ですが、これ演奏していてこんなに楽しい曲はないだろうなーと。うん、これ大編成の団体が好んで演奏するのがよくわかります。
トランペットなんかトップの方は最初から終わりまでソロばっかりで恐ろしく大変だけど、こんなに吹き甲斐のある曲はないだろうし、それ以外の2nd〜4th全てに見せ場があって。最初のうちは2ndは一番地味かな?と思っていたのですが、後半けっこう見せ場があって、1st&3rdの方もいいけど、2ndもいい音出すなーと聴き惚れてしまいました。
同様のことが他の管楽器にもそれぞれ言えて。そう言えば、バスクラが太いいい音してたのが気持ち良かったです。クラリネット全体良かったな。3楽章のハープと木管楽器、弦の掛け合いの部分も素敵でした。あのビオラの響きはクセになりそうです。
そんなわけで、曲が終わるころにはすっかりマーラーの虜に(笑)。
聴いているだけなのに、あまりに色んなパートに集中し過ぎて指揮者がタクトを下ろし、振り向かれた時に聴き切った〜という何故かものすごい達成感がありました(苦笑)。
世にこれ以上の名演はもちろん沢山あると思いますが、音楽堂であれだけのフルボリュームを体感できてすごくすごく楽しい1時間弱でした。ブラボー、ありがとう!
幾度かのカーテンコールの後、拍手に応えて再び登場したフランソワ=グザヴィエ・ロト氏。「ありがとうございます」と上手な日本語で言われたのにはびっくり。チラシによると、以前ラ・フォルジュルネで来沢されたことがあるそうで。
いきなりの日本語に場内が沸きましたが、すぐに日本語が話せなくてごめんなさいと英語に切り替わり。以前、金沢には来たことがあって、これが最後にならないことを願ってます、と挨拶されて始まったのは……。
アンコール
プロコフィエフ:バレエ組曲より「モンタギュー家とキャピュレット家」
嬉しい〜〜〜。この曲大っっ好きなので、たまらなく嬉しかったです。
お馴染みのテーマ、期待どおり弦の厚みが物凄くて気持ち良く。あれだけ吹き慣らしたホルンもまたしても大活躍。中盤のフルートの部分が、今まで聴いたことのないフレージングで。こんな解釈もアリだなと新鮮でした。
そんなわけで大満足のうちに終了。アンコールを終えて客電が着いたステージ上では、団員達がお互いの健闘を讃え合うかのように、肩を抱き合う姿が見られました。ホント、お疲れ様でしたと言う台詞が自然に出てくるような熱演をありがとう〜。
このシリーズ、昨日は広島、今日が金沢、明日の福岡でラストだそうで。
何でそんな移動効率の悪い行程なんだーとちょっと突っ込みたい気もしますが、日曜の午後に素晴らしい音楽を聴くことが出来て本当に感謝です。
これで明日からの1週間も乗り切れそうです。
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Comments
初めまして。
私も同じコンサート聴いてきましたので、通りすがりですが、コメントさせていただきます。
私は何といっても萩原さんのピアノが一番印象に残りました。本当に凄かったと思います!
メロディの歌わせ方のセンスが抜群だと思いました。もちろん、フランスに留学されていろいろ勉強されたんでしょうが、それだけではない、天性のセンスを、この人は持っていると思います。アンコールのショパンも、そのセンスが発揮された、素敵な演奏だったと思います。
「天才」「ラヴェル」「ショパン」というと、名ピアニスト「サンソン・フランソワ」を思い出しますが、この日の彼女の演奏は、まさにフランソワを彷彿とさせるような。抜群のセンスを感じさせてくれる演奏だったと思います。
とにかく地元で、しかも日本人ピアニストのこんな素晴らしいラヴェルを聴けて、本当に幸せだと感じました。
まだ若いですから、本当にこれから頑張って欲しいですね。
Comments
はじめまして、コメントありがとうございます。
萩原さんのピアノ、同行者が似たようなこと、ものすごく良く楽曲を研究して表現している、と言っていたのですが、いただいたコメントのメロディの歌わせ方、というのを拝見してそちらの方がしっくり来るなーと納得しました。
ラヴェルの世界を見事に表現した、とても素敵な演奏でしたね。
アンコールのショパンは、日本人でもこんな弾き方が出来るんだ、と新鮮でした。
サンソン・フランソワ、CDを探して聞いてみたいと思います。ありがとうございます。
彼女のこれからの活躍に期待するとともに、またいつか金沢で演奏してくれるといいですね。
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