ボトルネック
2011.11.16 Wednesday
たまに行く整体院で1年くらい前から本の貸し出しサービスをやっているので先日久しぶりに行った際に借りてきました。
ボトルネック (新潮文庫)
米澤 穂信
こういう時は日頃あまり読まない作家の作品を読もう!というわけで、最近よく見かけるけれど、作品自体は短編を2つくらいしか読んだことがないのでこの機会に長編を1つ読んでみることにしました。
本の裏表紙によると
亡くなった恋人を追悼するために東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した……はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは見知らぬ「姉」。もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人間なのか。世界のすべてと折り合えず、自分に対して臆病。そんな「若さ」の影を描き切る、青春ミステリの金字塔。
とあります。ぶっちゃけ舞台が金沢とあったのも読んでみようと思った動機のひとつでしたが。こっちの方はあんまり関係ないというか、読み終えてこの作者多分某国立大出身なんだろうなーと思わせてしまうくらい、大学近辺の描写が多く、日頃テリトリーではないので(^^ゞ別に他が舞台でもいい気がしました。この作者は岐阜県出身だそうで。あちら側の方からすると、そんなに北陸の冬って嫌ですか? と問いかけたくなるくらい、小説の中でも冬が嫌だというのが滲んでました。ま、学生時代に外の地域を経験してそう思うのもわかるなーというのはありますが、いや、一応住んでる人いるんだから……と(苦笑)。
そんな前置きはおいといて。肝心の小説は……うーん、不思議というかあまりない小説ですね。このミス大賞を取った作品だそうですが、これってミステリーなの?という突っ込みは置くとして。ぶっちゃけ何故、東尋坊からいきなりIFの世界に飛んでしまったのか、という点は最初から最後まで解明されないというより、解明しようとすらされてないし(苦笑)。SFなのか、というとそれとも違っていて。
取り立てて何か感動的なシーンがあるわけでも、ましてや起承転結があるわけでもないけれど、読み終わった後、少しだけ考え込んでしまう、何とも形容しがたい小説です。
文体も読みやすいのかというとうーん。。となるけれど、難解なわけでもなく。続きが気になって仕方がないようなわくわく感もないけれど、かと言って途中で放り出したくなるような内容でもなく、何となくすらすらーっと最後まで読んでしまいました。
最後の最後にリョウが辿りついてしまった結論は、残酷すぎるけれど、よほど強くあるいは前向きに生きてきた人以外は少なくとも1度くらいはそういう風に思ってしまうことはあるかな?という気がします。
短編を読んだ時も「で、結局なにが書きたかったんだろう?」と思ってしまったのですが、今回も同じような感じかな。
うーん最近はこういうのが受けるのかな。近年の芥川賞作家やケータイ小説よりは読みやすいけれど、全体的にインパクトに欠ける印象でした。あとがきの解説でやたら絶賛されていて、そうなのかぁと。
ただ、タイトルのボトルネックに絡めたくだりは、なるほどなーとけっこうくるものがありました。
あまりに読後感が不思議だったので、ネットで色んな方の感想を探してみたら……見事に評価が割れてました。いくつか見かけた「時間の無駄」とまでは思わないけれど、他の作品を読んでみたいとまでは思わないなぁ。いかにもラノベ、という方もいましたが、ラノベ自体読んだことがないのでその辺はよくわかりません。
と、よくわからない感想(ともいえないな)になってしまいましたが、たまには毛色の違うものも読んでみました、ということで。
最後に内容とまったく関係ない感想を。文庫版ですが、あまりの文字の大きさにびっくりでした。文庫もひと頃より文字は大きくなってはいますが、これ単行本より大きいんじゃ……(苦笑)。
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