猿の惑星:創世記(ジェネシス)
2011.10.09 Sunday
昨日のblogに書いたとおり、今日は表題の映画『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』を見てきました。
実はこの映画が公開されることは、つい数日前まで知らず(^^ゞ。今や名作と言われる『猿の惑星』は子供の頃テレビでやっていたのを見て、その後大人になりレンタルしてあの衝撃のラストに驚き、でもその後に色々作られたシリーズやリメイクはテレビで見たり見なかったり、という最低限の知識くらいしかなく見たのですが。結果的にそれがよかったです。
怖かったけれど、映画そのものはとても楽しめました。
いつものとおり、あらすじはgoo映画さんより引用です。
以下、ネタバレ満載なのでこれから観ようという方はその辺気をつけてくださいね。
サンフランシスコの製薬会社研究所に勤める神経化学者ウィル(ジェームズ・フランコ)が実験用に観察していた一匹のチンパンジーに驚くべき知能が示された。そのチンパンジーには開発中のアルツハイマー病の新薬が投与されていたが、突如暴れ出し、警備員に射殺されてしまう。だがそのチンパンジーは妊娠しており、ウィルは生まれたばかりの赤ん坊猿を自宅に連れ帰り“シーザー”と名付けて育てることにする。3年後、ウィルのもとですくすくと育ったシーザーは、家の中を縦横無尽に駆け回るようになった。ウィルとシーザーとの間には強い絆が生まれており、同時に母親のチンパンジーの特殊な遺伝子を受け継いだ彼は、類いまれな“知性”を発揮し始めていく。新薬が脳を活性化させる効果を確信したウィルは、研究所から持ち出したその薬をアルツハイマー病の父・チャールズに投与、すると翌朝、彼はそれまで悪化していた病状が嘘のように生気を取り戻す。5年後。ウィルは動物園の獣医キャロライン(フリーダ・ピント)と相思相愛の仲になり、体長5フィートにもなったシーザーは、より複雑で多様な感情を表すようになっていた。そんな折、チャールズが再び病状悪化の兆候を示し、隣人とのトラブルを引き起こす。その様子を屋根裏部屋から目撃したシーザーは、チャ−ルズを助けようとしてその隣人を傷つけてしまい、霊長類保護施設に入れられる。檻に閉ざされた施設で、シーザーを待ち受けていたのは飼育長の陰湿な虐待だった。その一方で、なかなか施設内の猿のコミュニティに溶け込めずにいたシーザーは、チンパンジーの群れを率いるボスとの争いに勝利を収め、全ての猿たちをひとつのグループにまとめ上げていく。その頃、ウィルはより強力に改良した新薬の実験を行うが、猿への投与中に薬を浴びたウィルの同僚が原因不明の体調不良を訴えた後、夥しく出血、謎の死をとげる。ウィルは施設を訪れるが、シーザーはウィルが差しのべる手を拒絶。知性に目覚め、人間の愚かさに失望し、ウィルさえも想像できない驚異的な進化を遂げたシーザーは、このときすでにある決意を固めていた。やがて高い知能を駆使し施設から脱出したシーザーは、今や固い絆で結ばれた仲間のチンパンジーらと共に、人類との壮大な全面戦争へとなだれ込んでいく……。goo映画より
自分で引用しといて何ですが、上のあらすじ殆どネタバレしまくりやん、と突っ込んでしまいました(^^A
帰宅して色々検索して知りましたが、この映画の売りのひとつはCG、VFXを駆使した技術だそうで。終始スクリーンいっぱいにそれはそれはリアルに跳びまわる猿達の姿に、ずっと、これどうやって撮ったのかなぁ?やっぱりCG?それともものすごく精巧な着ぐるみなのかなぁと思っていた謎がひとつ解けました。
というくらい猿の動き、仕草や表情が素晴らしいです。表情はあまりに感情表現が豊か過ぎて、もう少し奥ゆかしい表現が好きな人はやり過ぎと思うかも。少々それはないでしょ……と思う部分もなくはないですが、全体的にはテンポよく最後まで飽きることなく楽しめました。
前半のシーザーが小さい頃のシーンは、本当に可愛くてウィル達がたまには外でのびのびさせてあげよう、と国定公園に連れて来られたシーザーが水を得た魚のように森の中を飛び回る様子は、子供の頃に愛読した「ひとまねこざるときいろいぼうし」に出て来るおさるのジョージもこんな感じだったのかなーとふと思ったりしました。
シーザーがだんだんと大きくなり、大事なウィルの父を守るためとはいえ、隣人のパイロットに襲いかかるシーンくらいからは、その後の未来を知ってしまっているのもあり、どうしても恐怖感が先に立ってしまって、クライマックスのゴールデンゲートブリッジのシーンは椅子の上ですっかり縮込み上がってました。
最初に書いたように、チンパンジー特にシーザーの表情は秀逸です。特に遊びに来た国定公園で犬に吼えられ、自身も狂暴さをむき出しにした後、ウィルに諌められ車に戻った際に「僕はペット?」と尋ねるシーンでの表情が特に見事です。
あの「猿の惑星」に至る創世記ということですが、本作での猿達は人間を制服しようとかそんな大それたことは考えておらず、ひたすら自由と自分達を傷つけたり閉じ込めようとする人間に対してのみ敵意を見せるだけです。
警官達との壮絶なバトルも、彼らを殺そうとするのではなく、逃げるために倒すという感じで無用な殺生はしません。無事、国定公園に逃げ込み、会いに来たウィルとシーザーの再会と別れのシーンはどこか希望を感じさせるものになっています。
しかし、その後のエンドロールにあんな仕掛けがあったとは。
BGMのテーマ音楽とも相俟って、そうかそういうことだったのかと猛烈に怖かったです。
人間側の主人公であるウィルは、最後までシーザーを守り抜こうとする完全な良い人側に描かれていますが、最初の方からずっと「あなたのその思いがこの先人類にとんでもない未来を引き起こすことになる」という思いがずっと拭えませんでした。アルツハイマーに苦しむ父を助けたい一心で研究に打ち込む心情は、だんだん年老いていく親を抱える立場の人間ならば誰でも持つ感情だというのは理解できますが、でも、それもやっぱり他はどうなってもいいからこの人だけは救いたい、というエゴが行き着いた結果、禁断の実験に手を出してしまったと思うと……。
ラストのシーザーへの「あいつらはひどい。僕だけは君を守る」という台詞もシーザーへの深い愛情の表れで、感動する部分とも言えるけれど、やっぱり別の角度から見るとこれも「僕だけは違うんだよ」というアピールが結局はとんでもないことを引き起こしたわけで。
今、この国で起きている大きな問題も、やっぱり突き詰めていくと「自分達さえよければ」とか「他はどうなってもいいから既得権益は絶対に手放したくない」等、自分のエゴを優先してしまったら、この先に何が起こるか?を考えないで来た結果だと思うと、人間のエゴの持つ恐ろしさについて色々考えさせられました。
もちろん、色んなところで言われている行きすぎた文明への警鐘、もかなり考えてしまうところですが、個人的にはそれもこれももっとこうしたい、あぁしたいという欲=エゴのひとつの結果、だと思うと、誰しもが持っている「自分だけは〜」という思考の危うさが長い歴史の中で色んなことを引き起こしてきたんだな、と改めて考えてしまいました。
と、そんな難しいことは考えずとも、アクションやらSFやら色んな要素満載で久々に楽しい映画を見たなーという気分にさせてくれます。
余談
最後の最後で字幕:戸田奈津子 と出てきてあーやっぱりね、と思うと同時に相変わらずこういう超大作はちゃっかり未だに持って行くんだなと。
このジャンルを確立された第一人者なので、引き際とかも簡単にはいかないのかもしれないけれど、そろそろ話題作とかそういうのはもっと次の世代の方に譲る時期なんじゃないかな、と思ってしまいました。
おまけ2
本編前に流れた予告編の中では来年公開予定の「TIME」が中々面白そうでした。よくある予告編倒れになってなきゃいいけど、評判を見てこれもスクリーンで見てみようかな。
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