英国王のスピーチ
2011.03.21 Monday
3連休の最終日。地元のミニシアターで「英国王のスピーチ」を見てきました。元々は4月末頃からこちらに上陸予定だったのが、先頃のアカデミー賞受賞を受けて上映期間が早まる&ロングランへ変更。
受賞前から、一足先に見られたいつも信頼の置ける感想を書いてくれる映画好きな方のコメントを読んで、これは見に行こうと決めていました。
本来ならば、来月くらいになってから行く予定だったのですが、震災の影響で3月に予定していたことが全て中止になったのもあり、行ける時に行っとこうというわけで行ってきました。
開始10分程前にシネモンドへ行ってみてびっくり!ななななんとあのいつ行ってもガラガラで「ここ、大丈夫か?」と常に心配せずにいられなかったあのシネモンドの前に行列が出来ているよ!しかも、けっこう年配の方やおばさんの集団もいっぱいだよ!という状況に一瞬我が目を疑いました。
思わず入る時に別の方が「席まだ座れますか?」と聞いていたくらい。恐るべし!アカデミー賞の威力です。
これ、上映が終わって外に出て来たら次の回を待つ人でまた行列が出来ていました。
まぁ、他にもイベント的なことが行われている時もきっと行列が出来るんだと思いますが、たまにはこういうこともないとね。地味にここでしか見られない作品いっぱいあるから、つぶれちゃったら困るもんね。
さて、そんなわけで珍しく沢山の観客と共に鑑賞となりました。上映前のお楽しみ、coming soon作品の予告編では、真っ先に現在当館にて上映中の「その街のこども」が流れ、森山未來クン大好き&作品の内容からこれは見よう、と思っていた作品だったことを思い出したのですが、時期的&題材的にこれは映画館で見たら大変なことになるかも、、と思い直し、後日レンタルで見たいと思います。既に予告だけでけっこうやばかったので
肝心の映画は、とても良かったです。この映画館で見る作品は大抵眉間にしわが寄ったり、観終わった後にものすごーく考えさせられることが多いのですが(ちゃんと楽しいのもやってるのよ。以前の「俺達フィギュアスケーター」とかひたすら笑ったし)、今回は観終わった後すごく清々しい気持ちになりました。素直にいい映画だったなーと。
これまでイギリス映画といえば、007シリーズ以外では「フルモンティ」がとにかく大好きだったのですが(えぇぇぇ?)、またひとつ好きな作品が増えました。
幼いころから、ずっと吃音(きつおん)に悩んできたジョージ6世(コリン・ファース)。そのため内気な性格だったが、厳格な英国王ジョージ5世(マイケル・ガンボン)はそんな息子を許さず、さまざまな式典でスピーチを命じる。ジョージの妻エリザベス(ヘレナ・ボナム=カーター)は、スピーチ矯正の専門家ライオネル(ジェフリー・ラッシュ)のもとへ夫を連れていくが……。 yahoo!映画より
面倒なので、またしてもあらすじは引用させていただきました。
国王の吃音という、捉え方によってはかなりネガティブなことを扱った作品なのに、全体を通してそんな暗さは感じさせず、寧ろところどころかなり笑える部分もあり、それでいて王とローグがだんだんと信頼を深めていく過程には素直に感動しました。
予想外だったのは音楽の使い方の上手さです。吃音に悩むジョージを何とか説き伏せてニセ医師ローグのところへ連れてきたエリザベス。
しかし、当の本人は、かなり突飛な王族に対する態度とは思えぬ様子で治療を始めようとするローグに反発を覚え、やったって無駄だと持ち前のかんしゃくを破裂させ抵抗するばかり。そんな彼に1シリングをかけて貴方はちゃんとしゃべることができるんだよ、と教えるためにローグが取った策は彼に大音響の音楽をヘッドフォンで聴かせながら、シェイクスピアの1節を朗読させるというもの。で、その時に流れるのがモーツァルトの「フィガロの結婚」。あのお馴染みのメロディーが大音量で流れた瞬間、思わず噴き出しそうになりました。何だかあまりに嵌り過ぎてツボにきました。
最初は反発したものの、結局は彼の正しさに気づき、2人で吃音を直すトレーニングに励むシーンでは同じくモーツァルトのクラリネット協奏曲第1番。やっぱりこういう癒しというか心の治療系にはモーツァルトなのかな、と思っていたら、、ラストのクライマックスでの世界初の戦争スピーチを読み上げるシーンではベートーヴェンの交響曲7番の2楽章が静かに流れ、音楽の流れと王のスピーチがあまりに見事に調和していることにとても感動してしまいました。
吃音に苦しむ王族の1人が紆余曲折を経て、吃音を克服していく過程を描く一方で当時のイギリスが抱えていた植民地や自治区に対する偏見・差別をライオネル・ローグを通じてしっかり描かれているのもよかったです。
かっとなったジョージが思わずライオネルに対し「オーストラリア人のくせに」と激昂するシーンを見せておいて、ラストのスピーチではそのライオネルがジョージに向かって”said to me as a friend”友達に話すように私に向かって語りかけなさい という演出にはやられました。
途中、ライオネルの正体=ニセ医者に気づいた教会の大司教様が王に向かってもっと身分が確かないい医者を紹介します、という場面で王がそれでも自分の問題だから自分で決める、と彼を撥ね退けるくだりは、思わず胸がスカッとしました。王自身も彼に騙されたと怒りながらも、大事なのは肩書や地位ではなく相手との信頼関係だと気づいたことを象徴するいいシーンです。
最後の演説は、恐らく多くの人がそうであったように王の一語一語に映画とわかっていても緊張して思わず聞き入ってしまいました。
ジョージの吃音の背景には、幼少時に受けた深い心の傷があり、そのむごさには驚きました。同時に大戦時のイギリス宰相として名演説でも有名なチャーチルに映画でさらりと語られたような過去があったことも大きな驚きでした。しかし、洋画で歴史上の人物が登場する際、本当によく似た人をどこで探して来るんだろう?というくらい似てますね。ジョージ6世のお顔は知らなかったので、どれくらい似ているのか不明ですが、チャーチルは出てきた瞬間、うわっチャーチルって感じでそれも笑いのツボのひとつでした。
アカデミー4部門受賞作だと思って見ると、期待はずれに思う部分もあるかもしれませんが(個人的にはアカデミー賞なんてどうでもいいです)、そういう装飾部分を取り払い、単なる1本の映画として楽しんでほしいなと思います。観終わった後、あったかい気持ちになれます。
主役の2人+妻のエリザベス役の女優さんや脇を固める方々も皆、素晴らしい演技でした。
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