即興トリオ
2010.03.21 Sunday
今日はオーケストラ・アンサンブル金沢の第278回定期公演に行ってきました。
今回の目玉はスペインが生んだ天才トランペッター・シメオによる2つのトランペット協奏曲。彼の演奏が聴きたくて、今回はいつもより奮発してなんとS席を早々と購入して(笑)この日を待っていました。
昨日とは打って変わり、今日はまたまた冬型でしかも夜中じゅう吹き荒れた嵐のせいで黄砂が容赦なく降り注ぎ、街中どこもかしも茶色い砂をかぶってしまいました。我が家ももちろん漏れなく黄砂の洗礼で家から車から家中の窓ガラスやタイルetc.えらいことになってます
演奏前のプレトークによると今日3月21日はバロック音楽の父、J・Sバッハの誕生日だそうで。ちなみに4日後の3月25日まベートーヴェンの命日とのことで。まったく知らなかったので、へーそうなのか、とありがたくお話を拝聴しました。
さて、今日の演目は1部が
ヘンデル 合奏曲第12番 ロ短調
弦楽編成なので安心してのんびり、昨日の疲れなども癒しつつ、本命前の心地よいお休みタイムでした(こらこら)。
タルティーニ トランペット協奏曲 ニ長調
本日の主賓、ルベン・シメオ君登場。天才少年との触れ込みでしたが、見た目もわ、若い!黒のスーツに白のシャツ、真っ赤なネクタイがスペインらしさを感じさせます。って赤いだけなんだけどね。
れれ、ピッコロトランペットを持ってるよ、と思う中おもむろに吹き始めた音色の美しさに眠気が一瞬で吹き飛びました。
煌びやかな高音が美しく、流れるようなフレージングや恐ろしく綺麗で速いトリル等など。次から次へと奏でられる音楽の楽しさに圧倒されっぱなしでした。わざわざ来た甲斐がありました。
割れんばかりの拍手の中、2部にもあるしということであっさりと今回は袖に引いていきました。
1部の最後はアウエルバッハ フラジャイル・ソリュチュード〜弦楽四重奏と管弦楽のためのシャドウ・ボックス
という長いタイトルの現代音楽。
ごめんなさい。現代音楽嫌いなので(苦手じゃなく嫌いと言いきってしまうくらいダメです。かつて自分で演奏する時などもこれ、どこが面白いんだろう?と思いながらやっていたくらい^^ゞ)先ほどとは打って変わり苦行の時間でした。曲調が現代音楽らしいといえばらしい、難解で聴いていて自然に眉間に皺が寄ってしまうような感じで。聴きながら先週見た「カティンの森」の恐怖が蘇ってきてしまい、これは何かの罰ゲームなんだろうか?と思ったほどでした。
弦楽四重奏のソリスト4人のうち、第二バイオリニストの音色だけが異色すぎて、それがとても気になりました。
あと、フルートがpでロングトーンを奏でる際に息の音が漏れ過ぎて。clもダブルリード楽器も素敵な音色を聴かせてくれる分、余計耳障りで仕方なかったです。
休憩を挟んでの二部。本日のお目当て
ハイドン トランペット協奏曲 変ホ長調
トランペットを齧ったことがある人なら、殆どの人が聴いたことがある永遠のスタンダード。バイオリンで言えばメンチャイクラスの超有名コンチェルト。生でこの曲を聴くのは随分久しぶりなので、すごく楽しみにしていました。
1部では金のピッコロトランペットでしたが、今度はシルバーのトランペットを持っての登場。お馴染みのイントロが流れ、トランペットのソロが始まった途端、柔らかな響きが心地よく。心の中でメロディーを追いながらひたすら楽しく、凄いな〜と思いながら鑑賞しました。カデンツァも圧巻でしたが、個人的には2楽章が本当に素敵でうっとりでした。軽快な3楽章もどうやったらこんな風に吹けるんだろう、というくらい軽やかで楽しい楽しいと思っているうちにあっという間に終了。ほんっとに素晴らしかったです。
シメイ君ははにかみ屋さんなのか、カーテンコールに応える時も、すごすごと出てきてちょこんとお辞儀をする姿が何とも微笑ましかったです。
アンコールを求めて鳴りやまない拍手の中、コンダクターの井上道義氏が登場。「あとでやりますから。次の曲のために大掛かりに配置を変えないといけないので」と断って、つなぎタイムとしてしばし井上氏のトーク。
過日亡くなられた音楽愛好家として有名だった、川北病院の院長がいつも座っていたシートが”川北シート”となるそうで。凄いなぁと感心してしまいました。
本日のラストにしてもうひとつのメイン・イベント。
グルダ チェロと管楽オーケストラのための協奏曲
クラシックとジャズやフュージョン等が融合したかなり風変りな曲で苦手な人はごめんなさい、という井上氏の紹介で始まったこの曲。
OEKが誇る名チェリスト、ルドヴィート・カンタさんと木管楽器+金管楽器+打楽器、そしてクラシックギターというかなり変わった編成。
Tシャツとジーンズの上にジャケットを羽織ったラフなスタイルで登場したカンタさん。
ステージ最上段にはドラムセットも置かれていて、ステージ以外の照明をぐっと落とした中で、いきなり轟いたのがロックビート。音楽堂でミラーボールが回っているのを初めて見ましたよ。
これがもう、各段に楽しい!!楽しすぎる。チェロってこんなことも出来るんだという驚きの連続の数々に、どんどん前のめりになってしまいました。
チェロのハーモニックスであんなバイオリンみたいな高くて綺麗な音が出るんですね。かと思えばエレキ・ギターまがいの音が出たり、打楽器かと思うような奏法まで。カンタさんワールドの凄さにひたすら圧倒されました。
1楽章はモロビッグバンドのノリで、学生の吹奏楽部の演奏会に来たような錯覚で懐かしさを感じました。
2楽章は木管楽器を中心としたワルツ。これがもう惚れぼれするくらい音色が綺麗で楽しかった。
超絶技巧をこれでもかと見せつけたカンタさんオンステージをはさみ、ピアソラを思わせるような一風変わったメヌエットと続き、登場した時から、カップミュートとワウワウミュートが置いてあるのがずっと気になっていたのですが、ワウワウミュートをここで使うのかーとそれも楽しかったです。
そうそう、金管の中低音によるコラールも美しかったです。
そして最後は行進曲風の楽しい終曲。これぞブラス、な感じでうわーなんて楽しいんだと思ったくらい楽しかったです。久しぶりにトロンボーンの甘〜い高音を聴きました。
そうこうするうちに曲はどんどん盛り上がり、大団円のフィナーレが終わった瞬間、思わず「凄い」と呟いたくらい凄かったです。
全く新しい形のチェロ協奏曲、心の底から堪能しました。こんな凄い人が田舎のオーケストラにいてくれるなんて、本当にありがたい&贅沢だよな〜としみじみ幸せを噛みしめてしまいました。
うわー凄いもん見ちゃったよ、とものすごく本気の拍手をしながら、アンコールは何かな?とわくわくしていると。
再び登場した井上氏が「アンコールは何をしようか、当日決めました。実は今日客先に世界一のジャズピアニストが来ているので。小曽根真さんです」と紹介されてステージにあがった小曽根氏。ジーンズの上に真っ白なジャケットを羽織っていました。井上氏の「ピアノ持ってきて」の言葉に、ステージの上にセットに見せかけて置かれていた衝立の後ろからピアノ登場。
「あんなとこに隠してあったんや」というどこかのおじさんの呟きが観客の気持ちを代弁していました(笑)。
「せっかくなので、小曽根さんとカンタさんとシメオ君のトリオで何かやってもらおうかなー」という井上氏の言葉で既にステージ上にいた2人に加えてシメオ君が再び登場。
ステージ左から小曽根さん、まん中にシメオ君、右手にカンタさんの即席トリオによる豪華すぎるアンコール。
先ほどのチェロ協奏曲からインスパイアされた即興曲。ジャズピアノの演奏を生で聴くのは初めてでしたが、言葉にならないくらい素晴らしかったです。ピアノってあんな風に弾くんだ、弾けるんだと、もう小曽根さんのタッチに視線は釘づけでした。3人の中では若さもあってシメオ君はやっぱりクラシック畑の人だなという演奏でしたが、それでも見事な才能を見せつけてくれて。最高に楽しくて贅沢なアンコールでした。途中、井上氏がステージ上で踊り出すという楽しいおまけもあり。
シメオ君とカンタさんの名演だけでも充分、今日は来てよかったなーと思っていたのに、最後の最後にまさかこんな素晴らしすぎる楽しすぎるものが聴けるとは。今日、ここに来てよかったよーー!!
色々盛り沢山過ぎて終演がすっかり遅くなりましたが。本当にいいものを聴かせてくれてありがとう! オリンピック以来、微妙にずーーーーっと落ち込んでいたのが(^^ゞ少し浮上できました。
素晴らしい日曜日の午後をありがとうございました♪
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