ひゃくはち
2009.07.21 Tuesday
少し前にいつもブログにコメントをくださる方からいい映画がありますよ、と紹介してくださったので見てみました。
高校野球の名門・京浜高校の補欠部員、雅人とノブは、2年の夏の県予選が終わった後、「来年は甲子園のベンチに入ろう」と誓い合った。プロからも注目を集める主力選手たちと一緒に、血のにじむような猛練習に耐える日々を送りながら、少しでも鬼監督の注目を集めようと寮長に立候補したり、あの手この手を駆使する日々。でも与えられる役割は、ライバルチームの偵察や雑用ばかり。そんな二人の前に強力な新入部員が入ってきて…。
甲子園を目指す高校球児たちの熱いドラマ―といっても、これは補欠部員たちのストーリー。それも、ベンチ入り当落線上ギリギリの…。ベンチに入れたとしても試合に出られる保証はないのに、なぜ野球にこんなにも打ち込めるのか―。弱冠29歳で、本作が初監督作となる森義隆監督が、自身の高校野球体験を交えながら執筆した脚本はリアリティに溢れている。常勝強豪高校野球部の“裏側”も垣間見せたり、球児たちの清く美しくない(?)部分にクスリとさせられる部分も。主人公の雅人とノブを演じる斎藤嘉樹と中村蒼は、いずれも映画初主演となる注目の若手俳優。彼らの朴訥とした風貌も、作品にリアリティを与えている。 goo映画より
面倒だったのであらすじは転用してしまいましたが
ぶっちゃけ本当にいい映画でした。
高校野球や野球を題材にした作品は、たいてい弱小チームに入った主人公が救世主のような活躍でチームを頂点に導くものがほとんどです。でも、これはそうじゃなく野球エリート学校に一般入試で進学し、ベンチ入りを目指す2人の少年のお話。
プロで活躍する選手の高校時代のエピソード、というのはちょこちょこメディアで目にすることはありますが。でも、あくまでもそれは野球がものすごく上手かったエリートが語るエピソード。もちろん、高校・大学時代は控えピッチャーで…という方もおられますが、それにしたってちゃんとベンチには入ったり、試合に出たりすることもあるわけで。
この物語に出てくる雅人とノブは、ベンチ入りすらままならず当面の目標は監督に名前を覚えてもらうこと、な状態。ようやくベンチには入れても監督から「お前らを試合で使うつもりはない」とはっきり言われてしまうような、そんな存在です。
寮でチームのレギュラーと同室になり、日頃は4人でつるんでバカやっていても、心のどこかではあいつらと俺らは違う、という気持ちをずっと抱えています。
スポーツでも音楽などの文科系の部活でも、ある程度の規模の学校になるとレギュラーを取るというのは、それなりに大変なことです。それが、全国から上手い選手が集まってくる強豪校でベンチに入る、というのがどれくらい大変かは、普通の人にはちょっと想像がつかない世界です。
前半で秋季大会のベンチ入りメンバー発表の朝、雅人が心配から体調を崩しているのを見て、通りがかりのギターを背負った生徒に「なんだよそんなことで」と言われ「奴らにこの気持ち味わわせてやる」と怒るシーンがとても象徴的でした。
中学時代からの友人らしい雅人とノブの願いは2人で一緒に甲子園のベンチに入り、プレーをすること。その日を夢見て、一緒に年越し練習をしていた2人でしたが、春からノブがレギュラーを狙う1塁手にスーパー中学生が入ってくることがわかり、ノブが1塁⇒3塁のコンバートを決意した日から2人は一転、お互い顔を見るのも嫌なライバルへと変化していきます。
この辺はそれぞれの気持ちがわかる分、見ていて辛いものもあるのですが、そんな中でも2人の練習に付き合わされる下級生2人のやりとりが、ちゃっかりしてるというか、こういうのどこも同じだねと昔を思い出しニヤリとさせられました。
紹介してくださった方のポイント(?)サイン破りのシーンもよかったですが、最後の夏の背番号発表、ベンチ入りを果たした雅人と入れなかったノブが互いに相手を気遣う公衆電話のシーンがとりわけ印象に残りました。
あと、選抜のマネージャーに推薦されたにも関わらず、自身の練習をしたいからと断ったノブを説得するシーンもベタだけどすごく好きです。
「お前らレギュラーには俺らの気持ちなんて一生わかんねーだろうけどよ」雅人がつい口走ってしまったこの台詞。残酷だけど、真実だなと思います。お互いわかりあえっこないけれど、互いに相手を思いやるから一緒にやっていける。だから、レギュラーっていうのはものすごく沢山の思いが詰まった人達によって支えられているんだな、と改めて実感してじーんときました。
中盤で新米女性記者が、万年補欠の青野に「青野君はなんで野球やってるの?」と問いかけるシーンも好きです。今はそんな難しいことに応えられないけれど。最後の夏が終わったらその質問に答えられるかもしれない、というその答えもいいなぁと。
正直、この新米女性記者さん、あまりに青臭くて社会人を長いことやっている身にはかなりいらっとくる存在でしたが
この彼女の質問、実はものすごく残酷な質問だと思うのです。結局は、どんなに頑張ってもレギュラーになれっこないのになんで続けるの?(やめちゃえば?)ということを暗に言っているわけで。彼女自身が自分のやっていることに嫌気が差しているから、つい言ってしまったのだと思いますが。
「そんなもんいくらやったって仕方ないでしょ」的なことは、部活に打ち込んでいた人なら最低一度は親や周囲に言われたことがあるのではないかと思いますが、こういうのって理屈じゃない気がします。
苦しくて苦しくて、楽しいことなんて殆どないけれどつまることろサンダー監督の言う「俺は野球が好き」に行きつくのでは?
極論を言えば、努力の先に結果や報いを求めるのが大人で、そういう損得考えずに突っ走れるのが若さ、かな。なんて(汗)。
サンダー監督、いい味出してました。「野風僧」最高でした(笑)。
あぁいうバカ騒ぎ的なノリは男子高校生ならでは、です。いいなぁ。
この強面の人見たことあるけど誰だっけ?と思っていたら、、エンドロールの竹内 力の名前に納得でした。なんかあぁいう監督本当に全国探したらゴロゴロいそうです。
そういえば、高校球児にあるまじきシーンに対して、けっこう批判もあるみたいですが、個人的には大なり小なりあんなもんだろうな、と思っているので気になりませんでした。
「高校野球は汗と涙と感動と思っている人がいますが、それは嘘です」は確かオリックス時代のイチローの名言(?)ですが。イチローも愛工大名電で寮生活なので、あんな感じかなーなんて想像して楽しんでしまいました(^^ゞ。
そうそう、クリスマスパーティーのシーンは、イチローの先輩投手が語っていた皆で食堂をディスコにして踊っていたら、そこへ入ってきた監督がショックで寝込んでしまったという逸話を思い出しました。
野球のシーンも、猛特訓を重ねたというだけあってなかなかのものでした。一部、練習シーンでそりゃないよーと思う箇所もありましたが、逆にだから補欠止まりなんだなと妙に納得させられたり(こらこら)。
どの子もキラキラしてましたが、中でも純平君とノブが可愛かったです。
なので、背番号発表のシーン展開的に無理とわかりつつも、青野君じゃなくてノブが入りますように、と応援してました(大笑)。
なんだかとりとめのない内容になってしまいましたが。
これ、最後はハッピーエンドかどうかわからない風に終わるのもよかったです。それを描いちゃったら従来の野球漫画的な作品になってしまうのを敢えてあそこで終わったのが凄いというか、いいなと思いました。
一見、地味だけどじーんとくる映画です。最後はやっぱりうるうるティッシュかみかみでした。
監督が伝令、と言った時点で多分あれをやるんだろうなーと想像つくのですが、それでもやっぱりやられますね。
ちなみにあのシーン、本当にやっていた補欠選手がかつていたそうで。見てみたかったです。
というわけで、高校野球が好きな方はもちろん、青春群像的なものが好きな方にはかなりぐっとくる作品だと思います。
素敵な作品を教えてくださってありがとうございました!
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