OEK第257回定期公演
2009.03.07 Saturday
昨夜一言だけ書きましたが、昨夜はOEK(オーケストラアンサンブル金沢)のマイスターシリーズの定期公演に行ってきました。
普段はシンフォニーシリーズに行くことが多いのですが、今年は断然マイスターシリーズの方が面白いプログラムが多く、シンフォニーシリーズの定期会員の身内はあんまりだと少々おかんむり(^^ゞ
来年はもう少しバランスのとれた構成にしてくれるとありがたいです。
ま、それはともかく。今回は神尾真由子さんを招いての演奏会。
若手バイオリニストの中では庄司紗矢香がすっかりお気に入りですが、神尾さんもどんな演奏をされるのか、これは是非とも生で聴きたいっということで張り切ってチケットを購入しました(笑)。とは言ってもお財布事情もあるのでいつもよりちょっぴりグレードアップしたA席(苦笑)。でも、狙いどおり丁度視線の先がソリストの立ち位置に来るという絶好の場所でした。
本日の指揮はおなじみ井上道義氏。コンサートマスターがヤングさんじゃなく、もう1人の男性の方でした。ヤングさんもいいけれど、彼の音色が好きなので少し嬉しい(^-^)。
実は、帰る際にうっかりパンフレットを落としてしまい、団員の名前や曲目の詳しい解説がわかりません(^^ゞ。2部のアルルの女の抜粋は確かこの曲をやったはず……という記憶のみで書いてますのでご了承ください<(__)>
この日の演目は1部がハイドンの交響曲『軍隊』。
座席に着くと、まず目についたのがティンパニの横に置かれた民族太鼓。
あれを見た瞬間、あ、そっかーファランドールで使うからかー、と本日の演目を実感してしまいました。
出だしの音が鳴った瞬間、今日はけっこういいかもと思ったとおり、なかなか楽しい演奏でした。もちろん楽曲の聴きやすさもあるけれど、この日の演奏は3月28日にHABで放送される為、テレビカメラも入っているせい(?)か全体的に気合いが入ってました。
次はいよいよお待ちかね神尾真由子さんの登場。ブルッフのバイオリン協奏曲。
プレトークで井上氏も今日はどんな演奏をしてくれるのか楽しみ、とおっしゃっていましたが、演奏と同じくらいどんな衣装かな?というのも楽しみでした。
この日の衣装は黒のノースリーブのドレス。腰の部分から背中がほぼ全開になっていて、思わず「貴方は荒川静香さんですか?」と(笑)。
個人的に先週の吉本さんも黒だったので、えーまた黒?とちょっぴり残念でした。
最初のクラリネットの前奏に続いてゴーーっとソリストが奏で始めた瞬間、「うわっゴツイ音」と思ってしまったくらい、力強い演奏でした。
どう表現していいか悩んだ挙句ゴーーっと書いてしまいましたが、この曲の出だしって物悲しい雰囲気で実音と同じくそーっと入って伸ばしている間にクレッシェンドしてフレーズに移っていく、というものだと思っていたのであの入り方はものすごい新鮮というか衝撃でした。
庄司さんも迫力満点の音を出しますが、それとはまた違った感じで。庄司さんのは特に低音でものすごい力強さがありますが、神尾さんのはハイポジションでの音量と響きが凄く、特にD,A線のハイポジになった時の音の鳴りが抜群でした。
重音と速いパッセージが入り混じったフレーズも楽々と余裕しゃくしゃくで弾きこなしていく姿に圧倒されっぱなし。
特に1楽章中盤のカデンツァに入る少し前のオクターブの重音が連続するフレーズを大音量で弾かれたのには、ひぇぇぇ参りました、となってしまいました(^^A
出だしからオケとのバランスもなかなかよく、今日はいいなーと思っていたのですが、カデンツァの最後の音に被さってオケが入るところで何人かの方が遅れてしまったのが残念でした。聞きほれて(?)しまったのかもしれないけど、あそこはきっちり決めてほしかったです。あと1楽章の後奏の部分、もう少しだけTrpがパーンと来てほしかったな。
2楽章も味のある演奏で、この若さでこの音色が出せるって凄いなーと。
そのまま弦楽器が3楽章の扉を少しづつ開け始め、木管楽器がトタタタタタと音階を上がっていき、さぁバイオリンの登場。チャンチャラランとソロを奏でた途端、うわっこうきましたかーとびっくりしてしまいました。
ものすごい勝手な解釈で、この曲の3楽章は色んな苦悩や思いから解放された喜びに満ち溢れ、森の中で小鳥がさえずり小動物たちが嬉しくて飛び跳ねているイメージ(笑)があるくらい、とっても軽やかな印象なのですが、昨夜の演奏は重いというか「泥臭い」と形容したくなる感じ。
冒頭の部分は高音2弦と低音2弦を交互に弾くのですが、普通のソリストだと上2弦の部分を軽やかに下はおまけじゃないけど、合いの手を入れるくらいの感じで弾くのが、彼女はどっちもガンコと言いたくなるようなゴツイ音で奏でられるのでこういう演奏もあるのだなーと。
妙なたとえで恐縮ですが、西洋音楽を大和魂で奏でるとこうなります、という見本のような新しい感覚でした。
1楽章からの熱い演奏で楽器本体の熱が上がってしまったらしく、3楽章の冒頭からしばらくはややピッチが上ずり気味でしたが、そんなの別にいいやーと思えるくらい迫力ありすぎて(^^A
しかも、神尾さん熱が入ってくればくるほど恰好が前のめりになるんですね。
へーそういう人もいるんだ、とこれも新鮮でした。
と、熱すぎるソリストに比べてオケがもうちょっとボリュームがあってもよかったかな、と。最初の主題が終わり、オケが第二の主題を奏でる部分もう少し盛り上げてからチャラララランとソロが入って来た方が気持ちがよかったかも。全体的に少し遠慮している感じで、ソリストの邪魔をしてはという気持ちが働いたのかもしれませんが、3楽章に限ってはもっと弾いても弾き(吹き)足りない気がしました。
って何しろ3F席前方からの感想なので、2F席あたりは丁度いいバランスなのかもしれません。
最後はさすがにうわっと来てたのでよかったです。
そんな熱すぎる演奏でなんと神尾さんの弓が壊れそうになるアクシデントが発生。ちょっと待ってね、と袖に引っ込みしばらくして出てきて無言のままアンコール。
パガニーニの24のカプリースから13番。
これも迫力満点、技量を余すことなく披露してくれた演奏でした。
と、いつになく無駄に長々と書いてしまいましたが。期待以上によかったです。休憩中に近くの熟年カップルが紗矢香嬢とどっちが上?みたいな会話を交わしてましたが、どっちがいい悪いではなく。個人的な好みは紗矢香さんかな。初めて生で聴いた時の衝撃があまりに凄かったのと、彼女の演奏を終えた瞬間のニコって笑った顔が大好きなので。。(ってそこかい!と突っ込まれそうですが、あれはやられます 笑)
休憩を挟んで2部はビゼーの『アルルの女』組曲より。
第一組曲の前奏曲、第二組曲の間奏曲、パストラール、カリヨン、メヌエット、ファランドールだったかな(?)
アダージェットはなかったはず。。
冒頭のお馴染みのメロディーが鳴った瞬間からわくわくした気持ちになりました。この曲って確かアルトサックスのソロがあったはず……と思ったら、ちゃんとエキストラの方がいました。欲を言えばもう少し厭らしさがある方が好みだけど、素敵な音色を髄所で聴かせてくれました。コールアングレもよかったです。他にもハープやトロンボーンやTrpも2本(出番少ないけどこの曲、無駄に(こら)パート分けされてるもんね)もしかしたらパーカッションもかな、とたくさんのトラの方が加わっての大編成で楽しかったです。
クラリネットは毎回書いてますが、毎回どの曲でもいい音を聴かせてくれるのでソロが来るのが本当に楽しみです。
あと今回、実は失礼ながらちょっぴり心配だったメヌエット。これよかったです。フルートソロももちろん、ハープがとてもよく聞こえて気持ち良かった!
ラストはお待ちかねのファランドール。
これはもうあの太鼓(名前がどうしても思い出せない)につきます。パーカッションてその楽器ひとつで曲の色を変えてしまう力を持っていますが、これもそのひとつ。あのリズムが楽しくてわくわくしっぱなしでした。
1部のブルッフやこの曲など昔自分がものすごく練習した曲って、若い頃は演奏会で聴くのが嫌だったのですが、数年前くらいからはとても楽しいと感じるようになりました。
旋律の裏の裏まで聴いてしまう分、やたら細かい部分が気になってしまうこともあるけれど、ココでこのパートのこの音が欲しいーと思った時に実際に来てくれたときの嬉しさ楽しさはやっぱり格別です。
あ〜今夜は楽しかった。アンコールは何かな?と思ったら、、再びファランドールの後半部分でした。ちょっぴり残念な気持ちはすぐに井上氏に煽られての会場中の手拍子のあまりの楽しさに吹き飛んでしまいました。
以前、井上氏が指揮台を使わないことに驚いた、というコメントをいただいたことがありましたが。この日の井上氏を見てそりゃ指揮台乗れないよな〜と。だって井上さん、客席を煽りながらステージの上を右に左にと踊ってるんだもん。指揮台があったら、途中で落っこちてしまいます(苦笑)。
ラストの演奏と手拍子がピタッと決まった瞬間の気持ちよさは格別でした。
楽しい演奏会をありがとう。月末の放送を見るのが今から楽しみです♪
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