ひとり日和
2007.02.25 Sunday
既にあちこちで話題になっている、今年の芥川賞受賞作品『ひとり日和』
を読みました。
ひとり日和
青山 七恵
ここ数年、芥川賞の受賞作は???で数ページで挫折してばかりでしたが(^^ゞ今回の作品は割合読みやすく、最後まですーっと読むことができました。
簡単なストーリーは、埼玉から東京で暮らしたい、と出てきた20歳そこそこの女性・知寿がかつて母が下宿するはずだった遠い親戚である荻野吟子という70過ぎの女性の家に居候し、老女やそこで暮らしながら出会う人々との交流を描いた作品です。
ドラマティックな出来事も、特に哀しいことも起こらないけれど、吟子さんと知寿の日常を淡々と丁寧に描き、ハラハラドキドキはないのに何故かページを繰る手が止まらず気がついたら最後まで読んでました、という不思議な魅力があり、何となくほのぼのとした読後感が残ります。
色んなことがらの理由は殆ど説明しない代わりに、何気ない風景や動作などがとても丁寧に描かれていて、その背景は読者に想像させるような風になっているところが上手いなぁと。
知寿ちゃんが失恋したり、色々思い悩んだときに、思い切って相談しようと吟子さんに持ちかけても、あっさり気づかぬふりをしているのか、はたまた本当に気づいていないのか全く取り合わず放っておくところがいいです。
小説に老人が登場すると、大抵の場合は含蓄のある言葉を吐いたり、主人公が道に迷ったときに救いの手を差し伸べてくれるパターンが多いですが、この作品では一切なく。ひたすらマイペースにホースケさんとの老いらくの恋を静かに楽しむ様子に惹かれ、実際身近にいる老人と言われる人々を見渡してみても、そんなもんだよなぁと納得させられました。
割と簡単な些細なことで「全然楽しくない」と思ってしまう知寿に、あーそういうことってあるな、と妙に共感を覚えたり。すごーく面白かった!感動した、とかそういう大きな感情のぶれはないけれど、何故か妙に心に残る作品です。
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Comments
私も読みました。で、気に入りました。^^;これまでの読んでも意味がわからなく、これが時代なのかしらん??落ち込むことなく^^;読み終えられたことがうれしかったので。
静かで、でもああそうだよな、と妙に説得力のある作品でしたよね。
Comments
むふふ、毎年芥川賞は某主催社の雑誌で読んでますが今回は先日yuki様の感想を拝見して、これなら私も楽しく読めるかも・・と期待して読みました。
母も私もyuki様同様無事読みおおせたことが何より嬉しく気に入りました(^^ゞ
こういう日常をさらっと描いた作品てありそうで、あまりないですよね。次回はどんな作品を書いてくれるのか楽しみです。
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