ラフォル・ジュルネ金沢2015
2015.05.05 Tuesday
日曜から始った私のゴールデンウィーク。
今年もこの季節がやってきました。って本日はもう終了日なんだけどね。
ラフォル・ジュルネ金沢。今年のテーマはパシオン・バロック 〜バッハ、ヘンデル、ヴィヴァルディ〜
8年前のベートーヴェンから待つこと数年。毎年アンケートに聞きたい作曲家バッハと書き続けた甲斐がありました。
晴れてバロックの祭典です
というわけで、去年は療養中なのもあって1度しか足を運べなかった音楽祭。今回は2年分行くぞ〜というわけ(ではないけれど^^ゞ)、29日のオープニングコンサートを皮切りに昨日、今日と堪能してきました。
なんたって今回は、数年ぶりに以前聞いてすっかり虜になってしまったオリヴィエ・シャルリエ氏が再びやってくる、と知りオープニングと昨日のリサイタルで堪能できました。
今年のオープニングでは、バッハの無伴奏チェロソナタで能が舞うというコラボレーションがあったり、最後は朝の連続テレビ小説「まれ」のメインテーマで地元の少年少女合唱団が客席から歌を届けたり、と色んな新しい? 趣向が凝らしてあって楽しめました。
能はまったくわからないため、舞いも多分初めて、いや遠い記憶の中学生くらいの時の能楽堂公演観賞会で見たような見てないような、そんな曖昧な記憶しかないため、能がどんなものか全く知らず。意外と動きが遅いなぁなんてとんちんかんな感想を持っていたら……同行の友人にあれはいつもの能よりかなり早い動きなんだと教えられ驚きました。
だってねぇ、舞いというか普段スピンだの4回転ジャンプだの見慣れているせいでどうにもゆったり動くのねぇなんて思ってしまいましたよ(大汗)。
それはともかく。昨日はパイプオルガンの独奏とシャルリエ氏のリサイタルを中心に昼前から夜まで三昧でした。
パイプオルガン、バッハのトッカータとフーガやサンサーンスのオルガン付以外で生で聴く機会はなく。この音楽祭では初めての使用となったそうで。
初日のオープニングコンサートでは女性のオルガニストが煌びやかなドレスで演奏していましたが、今回はエリック・ルブランというフランス生まれの男性奏者。男性のオルガニストという時点で新鮮でしたが、演奏もパイプ・オルガンてこんなに色んな音色が出るんだーとびっくりするくらい、バラエティーに富んだ演奏でした。
夕方の今回の一つ目のお目当て。シャルリエ氏のヴァイオリンリサイタル。
バッハのパルティータ2番と同じくバッハの無伴奏ソナタ1番の間にビーバーの小品を挟んだ構成。
パルティータは30分超の大曲ですが、いや〜〜〜情熱的な演奏で素晴らしかったです。
元々バロック時代のバッハやヴィバルディ、ヘンデルらの作品はまだ楽曲自体がとてもシンプルで。超絶的技巧がない分、楽器そのものの音色と奏者自身の音楽性がより顕著に出ますが、彼の中から次々と溢れ出て来る音楽が本当に楽しくて心地よく。とっても楽しい1時間弱でした。
明けて本日、さすがに半日以上の三昧は予想以上に疲れたなーと少々くたびれた身体を引き摺り再び音楽堂へ朝も早くに行ったところ、当日券を買い求める長蛇の列に驚きでした。
今日は個人的に今回の目玉、セルゲイ・ツィンマーマンの演奏を楽しみにコンサートホールでバッハを堪能、のはずが。ツィンマーマンも期待以上に素晴らしかったのですが、2つのヴァイオリンのための協奏曲で第二ヴァイオリンを務めた、ハンガリーの奏者、アンドラーシュ・ケラーに全ての心を持っていかれてしまいました。
2つのヴァイオリンのための協奏曲は、以前庄司沙矢香&ホアン・モンラのペアでも聴いたことがあり、沙矢香さんはその時第二バイオリン担当で、彼女の強力に個性的な音色はこの曲には向かないなぁ、根っからのソリストだなとの認識を深めたのですが。
今回のケラーさん。1991年生まれの見た目どおりの若手なのですが、飴色の艶のある音色が素晴らしく。ツィンマーマンの音色に見事に溶け込み、それでいて第二バイオリンが主役のところでは、しっかり歌い上げてくれて。最初の1楽章の時点でなんて素敵な音を出す人なんだっ! となってしまい、すっかり第二バイオリンにばかり耳が行ってしまいました。
2つの〜のハ短調の方は、3楽章の冒頭で第1,2ヴァイオリンがユニゾンになるのですが、その部分が本当にもうツィンマーマンが2倍になったようにぴったり合わさって増幅された音の厚みと色が素敵でたまらなかったです。
バックのコンチェルト・ブタペストの音色も本当に綺麗で。
早朝からものすごいいいものを聴かせていただきました。
2曲目のバッハのバイオリン協奏曲1番は、子供の頃にある程度まで練習を積んだ人なら誰もが通る道、なくらいポピュラーな曲ですが。
掛け値なしに素晴らしかった! これぞヴェテランというか世界の一流の音を堪能しました。自由自在なツィンマーマンの世界をこれでもか、というくらいたっぷり聴かせてもらって大満足。
そして、再び2つのヴァイオリンのための協奏曲。今度は二短調。一般的には多分、こちらの方がなじみが深いかな。
もう一度ケラー君のバイオリンが聴ける、ということで今回はもう冒頭からひたすら第二ヴァイオリンに目も耳もくぎづけでした。
スラっとした立ち姿も美しいんですよ。期待通りというか、期待以上の音色でもう最初から最後まで夢のようなひとときでした。
もう今回のラフォルジュルネはこの演奏で元を獲ったというより、お釣りがくるくらいの幸せをいただきました。ありがとう!!
本日2つ目のプログラムは金沢ではお馴染み、ヴェンツェル・フックス氏と地元出身のフルート奏者、今永靖子さんを迎えてのモーツァルトのフルート四重奏曲とウェーバーのクラリネット五重奏曲。
全員綺麗な女性のパリ・コロンヌ弦楽四重奏団との共演でしたが、先にこれ以上ないくらい素敵な弦楽アンサンブルを聴いてしまったせいもあって、弦楽器の方は……正直かなりイマイチでした。すみませぬ。
でも、容姿とドレスは美しかったです。天は二物を与えなかったんだなーと妙なところでほっとしました。
フルートのコンチェルトって個人的にはあまり聴く機会がなく、工藤重典氏で以前聞いたくらいですが、やっぱり若いのもあってか、まだまだこれからかな、という印象でした。
フックス氏のクラリネットの方は相変わらず、凄かった!バックとソリストの力量が大人と子供くらい違うのを除けば(こらこら)、クラリネットの魅力をこれでもか、と伝えてくれました。ほんっと楽しい演奏をありがとう!
というわけで、今年も楽しい音楽の祭典でした。
来年のテーマが何なのか今から既に楽しみです。
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