アメリカン・スナイパー
2015.03.08 Sunday
先日ひなまつりも終わり、すっかり3月なのに。
夕方のローカルニュースで地元の国立大学の合格発表の様子を見ながら、最近は2月の初めに国立大学の合格発表があるのね、と言ってしまい家族から総突っ込みを受けてしまいました(^^ゞ
そんな2月の終わりに公開間もない「アメリカン・スナイパー」を見てきました。クリント・イーストウッドが監督した云々というCMを見て、これは面白そうだということで思い切って行ってきました。
アメリカ軍で最も強い狙撃手と呼ばれた、クリス・カイルの自叙伝を実写化したもの。
始まって最初に感じたのは、アメリカが創る戦争映画といえば第二次大戦ものかベトナム戦争を扱ったものが殆どでしたが、アルカイダとの戦いを描いた作品が作られるようになったんだなぁ、ということ。
物語は主人公の幼少時代から始まり、弟とともにカウボーイの真似ごとをしていたクリスが、9.11をきっかけに愛国心(?)に目覚め、兵士募集の張り紙を見て応募、過酷な訓練を乗り越え特殊部隊ネイビーシールズの一員となっていく様をつぶさに追っていきます。
結婚式の最中に派兵が決まり、ここからは一気にずっと戦闘描写かと思った予想は見事に裏切られ。戦場と幕間のように差し挟まれる本国での様子を行ったり来たりしながらラストを迎えます。たまたま見に行く数日前にこの映画の結末に絡む裁判の判決が出たニュースを見ていたため、主人公の現在は知っていましたがどこまで映画で描くのかは知らず。
唐突な印象で少しびっくりしましたが、実際にもきっとそうだったのだと思います。
大昔の大戦のイメージだと戦場は一度行ったら死ぬか、運よく生きて帰れるかの2拓しかないですが。イラク戦争では数週間の派遣期間が終われば帰国、それで終了の人もいれば、クリスのようにしばらくの間をおいて再び戦場に赴く人もいて。生死をかけた戦いであることは間違いないけれど、作戦に向かう途上で遠く離れた本国にいる家族と通話している描写に驚きつつも、これが現代の戦争の姿なんだなと思いました。
戦場の描写は過酷そのものですが、遠く離れた本国ではいつもと変わらない日常が続いていて。当事者でない日本にとってはイラク戦争は、言葉は悪いけれど他人事な面が強いですが、当事者であるアメリカ国内であっても、兵士とそれ以外の人では戦争そのものに対する思いがまったく違っているのが作品から見てとれます。
無事生きて家族のもとに帰ってきても、心だけは戦場に置かれたままなクリスを何とか元に戻そうとする妻よりも、戦場で身体だけでなく心にも深い傷を負った兵士仲間との時間を選んでしまうクリスの姿が切ないです。
でも、その一方でクリスは自ら志願して兵士の道を選んだけれども、戦地であるイラクで母親に手榴弾を渡される少年や前半に出てくる町の長老や彼の息子のような子供たち、イラクで兵士として戦っている人達は選択権すらなく戦争に加担させられているということに胸が塞がれるような思いがしました。
スナイパーとして類まれなる才能を開花させたクリスは、アメリカ軍史上最強のスナイパーと称えられると同時に敵からは多額の賞金がかけられた最も倒すべき敵となります。自軍の仲間たち、本国にいる家族を始めとする自国民を守るために引き金を引き続けるクリス。次々と敵の銃弾に倒れていく仲間。
リアルな描写に思わず顔を背けたくなりますが、それだけダイレクトに戦場の過酷さ厳しさが伝わってきます。
老若男女の区別なく敵とみなした相手を、人が人を殺すのを正当化するのが戦争ですが、それでも100人以上の敵を射殺したクリスが復員後、カウンセラーに戦場での行為を後悔してるか?と問われ、自分は倒すべき相手を倒しただけで正当な行為だ、後悔はしていないと言い切る姿が残虐なシーン以上に恐ろしかったです。
妻に何故あなただけが何度も戦地に行かなければならないの? と詰られても譲らなかったクリスが最後、「もう帰る」と戦場から電話した思いはどんなものだったのか。
その答えは私には決してわかりませんが、急速に戦争ができる国へと向かいつつある今、平和慣れしたこの日本で現実の戦争・戦場と向き合う覚悟がある人間がはたしているのか? と。
全くの無音のエンドロールを眺めながら色々考えてしまいました。
映画としてはとてもよくできた作品だと思います。ですが、いい映画、と言いきってしまうにはあまりにも色んなことが重い作品でした。
なかなかまとまらず、ようやく感想を書くことができました。
書きながら、”つばくろうのかれんなかれんだー”楽しみ〜〜☆、と思える何でもない日常のありがたさを改めて噛みしめてます。
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