植物図鑑
2009.09.20 Sunday
以前のブログでそのうち紹介します、と書いた本の記事もまだですが。こういうものは旬なうちにというわけで。今回は、私らしからぬ(笑)本の紹介です。
植物図鑑
有川 浩
疲れた身体にお薦めです、との温かい文言で紹介をいただいて山菜やら野草を扱うという内容に興味を惹かれ、地元の大型書店に買いに行ったところなんと最後の1冊でした。しかも、レジですぐにブックカバーをかけてもらったため、どんな表紙だったんだろう?と改めて見てみたら……。帯に赤字でデカデカと発売たちまち7万部突破!!この夏、最高のベストセラー恋愛小説!!とあるではないですか。いや〜買う前に見ないでよかったわ。こんなうたい文句先に知っていたら恥ずかしくてレジに持って行けないところでした(笑)。
唐突ですが、私はものすごく泣き虫です。泣き虫という表現が適当でなければ無駄に涙腺が緩いです。しかも、悲劇とか悲恋とか普通の人が泣くような場面ではなく、何でそこで?という場面で突然涙腺が決壊します。
例えが古いですが「タイタニック」では全く泣かないけれど、「ホームアローン」を見に行ったら、最後に両親が帰ってきてカルキン君を抱きしめてくれるシーンで決壊して相当恥ずかしい目に遭った、とかそんな感じです。
そういえば、子供のころ親に連れられて見に行った寅さんでも、周囲の大人が笑い転げる中、必死に涙をこらえていた記憶があります(苦笑)。
なので、公共の場で読んだり見たりするものにはかなりの注意が必要です。
元々、男性が好むような色気の欠片もないようなモノが好きなので、電車の中で読書をしていてもさほど困ることはありませんが、たまにうっかり選択を間違えて恥ずかしい思いをする羽目に陥ったこともあります。
と、前置きが長くなりましたが。そんなわけで(?)、今回紹介する本も、絶対に外では読めない本です。
平凡なOLのさやかが、ある晩1人暮らしをしているアパートに帰ると、家の前に見知らぬ若い男性が行き倒れていた。
驚くさやかに男が放った一言「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか。咬みません。躾のできたよい子です」。それがきっかけとなり、奇妙な同居生活が始まった。住環境を提供する代わりに、男=イツキが一切の家事を引き受ける。家事が苦手なさやかにとって、願ってもない条件で始まった同居生活は、巡る季節とともにさやかに今まで全く知らなかった世界を教えてくれるものとなり、それとともに募っていく相手への思い。
とある事件がきっかけとなり、お互いの思いを伝え合うことに成功した2人。けれども、幸せな生活は長くは続かず。ある日、たった2言の書置きを残し、イツキはさやかの前から消えてしまう。残されたさやかは……。
あらすじだけを書いていると、本当に絵に描いたようなベタな展開で、何だか気恥ずかしさが募るのですが。そこは作者の技量が光ります。話の組み立て方がとにかく上手くて。冒頭のシーンが後半、測ったように出てきたときはやられた!となりました。読み終えてものすごく幸せな気持ちになりました。というか、途中から「誰かを好きになるっていいなー。あー恋がしたい」と柄にもなく思ってしまったくらいです。
紹介してくださった方が最初に言ったとおり、どこからどう見てもラブコメ以外の何物でもないのですが、それが決して厭味でなく。
さやかとともに色んな野草の名前、料理法を覚えていくうちに、どんどん物語に引き込まれていきます。
癖のない読みやすい文章の中に、はっとさせられる表現がたくさんあり、思わずそのとおりかも、と頷いてしまいました。
特に冒頭の「女の恋は上書き式、男の恋は保存式」には上手いっそのとおりとものすごく納得してしまいました。普段、そんなことを考えたこともなかったですが、確かに言われてみれば本当にそのとおりで。女は失恋してどんなに落ち込んでいても、新しい恋が見つかれば綺麗さっぱりとはいかないまでも、記憶の底に沈めてしまうけれど、男はそうはいかない。
とにかく出てくる野草、どれもがとても魅力的で。この本を読むと無性に道草に出かけたくなります。山菜はどれも苦手なので、採っても殆ど食べないことが多いけれど、イツキが作る野草料理の描写があまりに活き活きしていて、今度春が来たら作ってみたいと思ってしまいました。
フキノトウの天ぷらだけは、さやか同様無理だけど(笑)。
イツキもさやかも、どちらも魅力的で2人がだんだんと自然に距離を縮めて行く過程が微笑ましくあーいいなぁこういうのってと思う反面。
個人的には損な役回りとなってしまった竹沢クンがとても印象に残りました。文中にあるように、きっと彼相手なら、将来も安心付き合ったら優しくて楽しい彼氏になるだろう、と思います。でも、人を好きになるのは理屈じゃない。しかも、意外とこういうタイプは、実際にはそれほどモテなかったりもする、ということを見てきてしまっているせいか、ついつい応援したくなってしまいます。
さやかに個人的なお祝いをあげるシーンなんて、おーなんていいヤツなんだ!と嬉しくなってしまいます。そんなお人よしがいるか、と突っ込まれそうですが、でも、こういう人って本当にいたりするから世の中まだまだ捨てたもんじゃなかったりするなーとも思ったり。
そんなわけで、明日はさやかとイツキにならって、久しぶりに散歩に出かけようかな。
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