es
2008.10.04 Saturday
今月はCSで何本か気になる映画が放送されるのですが、まずはその1本目が昨夜放送されたので見ました。
es[エス]
オリバー・ヒルツェヴィゲル,モーリッツ・ブライプトロイ,クリスティアン・ベッケル,ユストゥス・フォン・ドーナニー,マリオ・ジョルダーノ
1971年にスタンフォード大学で実際に行われた心理実験が元で起きた事件を題材に舞台をドイツへ移し、人間の恐ろしさ・脆さ・強さを描いた作品。
被験者求む。報酬は4000マルク。場所は大学内に作られた模擬刑務所。
そんな新聞広告を見て集まった20人の一般男性。普段はタクシー運転手、キオスク店主、航空会社職員etc.様々な職に就くごく普通の人間が、看守と囚人役に振り分けられ、14日間模擬刑務所でそれぞれの役になりきって生活し、その間の心理状態を観察する、というもの。
この広告に目を留めた元新聞記者で今はタクシー運転手のタレクは、この実験を記事にすれば売れる、と思いつきかつての職場に約束を取り付け被験者に合格。被験者達の多くは高額報酬が目当てで、「囚人ごっこ」「看守ごっこ」のような遊び感覚だった。
しかし、初日こそ各人がそれぞれが置かれた全く未知の状況に浮かれ気分であったものの、時間を重ねるにつれ看守は横暴化、囚人たちは卑屈になっていく。
ネタを狙い何かと問題行動を起こすタレスとそれを食い止めようとする看守達。タレクが囚人達のリーダー格となっていくと同時に、看守の側も濃く食う会社の地上職で7年間遅刻をしたことがないという生真面目なベレスが頭角を現す。2人の覇権争いが他の被験者達をも巻き込み、実験そのものが次第に恐ろしい方向へと変化し始める。
被験者達の異常に気づいた助手は、教授に実験の中止を求めるが聞く耳をもたぬまま助手に実験を任せ彼は学会へと出かけて行く。
そして実験開始から5日目。誰もが予期しなかった惨劇が起きる……。
故・水野晴○氏風に言えば「いや〜人間って怖いですね」ということになるのですが。そんな簡単に言い切ってしまえるような軽いものではなく。
非常に後味が悪いというか、色々考えさせられる映画でした。
しかも、最初は後半の1時間から見てしまったため、一方的に看守役への憎悪が募ってしまい気持ちを抑えるのが大変でした
もう一度きちんと最初から見直して見たら、結末がわかっているのもあってじっくり冷静に見ることが出来ましたが。初見の気持ちからも明らかなように、もし自分が囚人役にされてしまったら、、看守に殴り殺されてしまうコースまっしぐらだな、と(苦笑)。
それはともかく。この映画では管理する側と管理される側に置かれてしまった場合の人間の変貌の恐ろしさがこれでもか、と描かれるのですが、どんどんエスカレートしていってしまう看守・囚人双方の心理状態もさることながら、一番恐ろしいのはこの実験の首謀者だと思いました。
ちっぽけなプライドの為にどんどん凶暴化していくベレスも許しがたいですが、”世紀の実験”を大義名分に危険を予見しつつも、実験を強行させた教授だけは絶対に許せません。
学問を究めたいという、己のエゴの為には人を人とも思わない。これは彼に限ったことではなく、誰の心の奥にも潜んでいる恐ろしい心理ではないかと思います。
○○の為、という大義名分を得たときにどれだけ冷静になって相手の立場を考えられるか。集団心理に引き摺られることなくどこまで自分を保てるか。
自身に当て嵌めてみて、絶望的な気分になってしまいます。
観る側に非常にエネルギーを要する内容ですが、よく出来た作品だと思います。迫真の演技、とある時だけ突然歌が流れる以外は殆ど無音で進行する音楽もより作品に惹き込ませる効果があってよかったです。あと独特なカメラワークが秀逸でした。
色んな面でお薦めです。が、、もう1回見ろと言われたら……(^^ゞ。数年後にまた衝撃を受けたいかな。
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