硫黄島からの手紙
2007.01.21 Sunday
1月と思えない快晴の今日。朝、起きたら姉が映画に行く、というのでんじゃぁ私も、ということで行って来ました。『硫黄島からの手紙』
先日、アカデミー賞の外国映画賞を受賞した渡辺 謙さんが出演している作品、ということは知っていてもその他のことは何も知らず、二宮和也と聞いてもジャニーズのどっかのグループの1人だと思うけど、顔もわからない体たらく(^^A
そんな状態でしたが、まぁ戦争映画は比較的よく見てるから、、という感じで行きました。
〜1日でも長く。61年の時を超えて届く男たちの想い。
2006年、硫黄島。
地中から発見された数百通もの手紙。それは、61年前、この島で戦った男たちが、家族に宛てて書き残したものだった。届くことのなかった手紙に、彼らは何を託したのか。
戦況が悪化の一途をたどる1944年6月、ひとりの指揮官が硫黄島に降り立った。陸軍中将、栗林忠道(渡辺謙)。アメリカ留学の経験を持ち、それゆえにアメリカとの戦いの厳しさを誰よりも知り尽くしていた男。本土防衛の最後の砦とも言うべき硫黄島の命運は、この男に託された。
着任早々、長年の場当たり的な作戦を変更し、部下に対する理不尽な体罰をも戒めた栗林に、兵士たちは驚きの目を向ける。今までのどの指揮官とも違う栗林との出会いは、硫黄島での日々に絶望を感じていた西郷(二宮和也)に、新たな希望を抱かせる。従来の常識にとらわれない栗林のやり方は、古参の将校たちの反発も呼んだが、一方で頼もしい理解者もいた。そのひとりが、ロサンゼルス・オリンピック馬術競技の金メダリスト、「バロン西」こと西竹一中佐(伊原剛志)だった。
硫黄の臭気が立ち込める灼熱の島、食べ物も飲み水も満足にない過酷な状況で、栗林の指揮のもと、掘り進められる地下要塞。島中に張りめぐらせたこのトンネルこそ、米軍を迎え撃つ栗林の秘策だったのだ。
1945年2月19日、ついにアメリカ軍が上陸を開始する。その圧倒的な兵力の前に5日で終わるだろうと言われた硫黄島の戦いは、36日間にもおよぶ歴史的な激戦となった。死こそ名誉とされる戦争の真っ只中にあって、栗林中将は兵士たちに「死ぬな」と命じた。最後の最後まで生き延びて、本土にいる家族のために、一日でも長くこの島を守り抜け、と。
栗林の奇策に反発し、軍人らしく玉砕を貫こうとする伊藤中尉(中村獅童)、憲兵隊のエリートから一転、過酷な戦地へと送り込まれた清水(加瀬亮)、戦場にあってなお国際人であり続けたバロン西、まだ見ぬ我が子を胸に抱くため、どんなことをしても生きて帰ると妻に誓った西郷、そして彼らを率いた栗林もまた、軍人である前に、家族思いの夫であり、子煩悩な父であった。
61年ぶりに届く彼らからの手紙。そのひとりひとりの素顔から、硫黄島の心が明かされていく。〜 (gooより)
戦争映画は主に外国モノをいくつか見ましたが、これほど日本人の視点で描かれた作品を見たのは初めてです。
日本人が作る戦争映画は、独断と偏見で言うなら割とお国のため、陛下の為死なば諸共的な、ものすごく肩に力が入ったモノが多い気がするのですが、これはそういう上からの視点ではなく。自らの意思とは無関係に否応なく戦争に駆り出された一兵士が、国や権力とはかけ離れたところで、ただひたすら家族の元へ生きて帰りたい、その一心で戦いやりきれない思いを抱きながらも日々を過ごしていく様を描いています。
顔も知らず名前だけは何度も聞いたことがある二宮君、どんな子だろう?と思っていたら、最初に出てきたときは、どちらかといえばちょっぴり馬面系で(汗)ジャニーズにもこんな子がいるんだーと新鮮な驚きでしたが、とてもよかったです。
二宮君演じる西郷といつも一緒にいて飄々とした途中で自決してしまった若い兵士の子もすごく自然でよかったです。名前がわからず最後のエンドロールで確認しよう、と思ったら、、なんと「KEN WATANABE」といった具合に全員英語表記でどわーっと流れてきたので全くわかりませんでした(^^ゞ
実はこれ日本の役者と日本語ばかりなので邦画と思いがちですが、洋画なんですね。でも、あのCASTの日本人の部分だけは漢字にしてほしかったです(笑)。
妻と二人営んでいたパン屋さんの最初はあんぱんを作っては憲兵に没収され、ハムサンドを作ればそれも、、とうとう具のないパンだけになったそれさえももっていかれ、しまいにはパンをやく道具すらも”供出”という名目で持っていかれ店は潰れてしまった挙句の赤紙。
それでも「ありがとうございます」と行かなければならなかった彼と妻の心中を思うと本当にやりきれないです。
劇中、西中佐が亡くなった捕虜が持っていたお母さんからの手紙を読むシーン。書かれた内容は日本の母と同じく、ただ息子の無事を願うことばかり。最後に「正義を貫けばそれが正義になる」という一文を聞き、その場にいた者はそれまでずっと”鬼畜米英”と叩き込まれていた相手もごく普通の人間であることに気づきます。
今の時代では当たり前のことが、決して当たり前でなかったことを象徴するこのシーン、とても哀しく印象に残りました。けれども西中佐や栗林閣下のように、殆どまともな思考をもつことが難しい状況下になっても、こういうごく当たり前の感覚を持つことの大切さを兵士達に教えてくれる人物がいたことにほんの少しだけ救われた気がしました。
当時の状況を効果的に伝えるためか、最初から最後までずっと画面がセピア色がかったように薄暗く、それが少し慣れていないのもありしんどかったです。凄惨なシーンは従来の戦争映画でもいくつも見てきましたが、それでもこの映画の自決シーンの方が数段怖かったです。
特にXXXXバンザーイ!と叫びながら、次々と手榴弾で自決していく様は、とても正視に耐えられませんでした。
2時間30分を越える大作ですが、長さは感じず、時にえ?さっきの話はもう終わり?というくらいの速さで話が進み、気がつけばラスト近くになっていました。
広島・長崎への原爆投下や東京・大阪の大空襲や沖縄戦のことは、これまでにも多くメディアでも取り上げられてきましたが、今回の硫黄島やレイテ島、フィリピンなどいわゆる外地で何が起こっていたのか、ということは殆ど知る機会がありません。
私もこの映画を見るまで恥ずかしながら硫黄島の存在すら知らず、帰宅してから所在地を確認したくらいです。
今回、この映画のおかげでほんの少しですが、それを知ることが出来て本当によかったと思います。
決して勝つ望みがないと知りながら、それでも家族や大切な人を守る為、遠く離れた僻地で悲惨な戦いを強いられた多数の尊い人々があったこと、彼らが何を思いどんな状況であったのか、忘れることなく次の時代へ伝えていかなければいけないと思いました。
一個人を英雄視した描き方ではなく、戦争とはこういうものだった、ということをただひたすら惨いくらい淡々と描いたC・イーストウッド監督は素直に凄いと思います。淡々とした分、余計に重く伝わるものがあった気がします。
長々と書いてますが、映画を見た感想はただひとつ。「戦争は二度としてはならない」これに尽きます。
映画を見ながら、何度も「何が愛国心、美しい国だ」と思いました。
愛国心を強調したい、戦争を知らない某氏や某国の大統領はこの映画やセットになっている『父親たちの星条旗』を見ても尚、自分達は正しいと言い切れるのでしょうか。
今回、二宮君効果で若い子達も劇場に足を運んでいると聞きました。今日も年配の方々に混じり、二宮君ファンらしき中学生くらいの女の子2人がお隣でした。私も含めて戦争を全く知らない若い人達にこそ、見てほしい作品です。
| top |
- ご報告 (08/16)
- 星野源見つけた (06/20)
- ポート入れ替え (06/14)
- 再入退院とドセタキセル その3 (05/23)
- 再入退院とドセタキセル その2 (05/13)
- ご報告
⇒ ユウキ (08/22) - 星野源見つけた
⇒ しおん (06/30) - 星野源見つけた
⇒ ひろりん (06/29) - 再入退院とドセタキセル その3
⇒ しおん (05/25) - 再入退院とドセタキセル その3
⇒ さくら (05/24) - 腸閉塞
⇒ しおん (04/07) - 腸閉塞
⇒ ひろりん (04/05) - 腸閉塞
⇒ しおん (04/02) - 腸閉塞
⇒ さくら (04/02) - パラサイト 半地下の家族
⇒ しおん (02/01)
- 横浜移籍!?
⇒ ニュースブログ (07/25) - ぶらり東京紀行その2
⇒ 山野楽器! (06/15) - ぶらり東京紀行その2
⇒ 山野楽器! (06/15) - ぶらり東京紀行その2
⇒ 山野楽器! (06/15) - ギンギラギンにさりげなく
⇒ デボネア日記 (06/02) - 日本一おめでとう!!そしてさよなら
⇒ ノラ猫の老後 (10/27) - COI静岡公演
⇒ Color Pencils (10/16) - 今岡復活!!
⇒ 続「とっつあん通信」 (09/29) - 8連勝!
⇒ 続「とっつあん通信」 (09/29) - 快勝!
⇒ 続「とっつあん通信」 (09/24)
- August 2020 (1)
- June 2020 (2)
- May 2020 (3)
- April 2020 (3)
- February 2020 (3)
- January 2020 (8)
- December 2019 (6)
- November 2019 (6)
- October 2019 (7)
- September 2019 (5)
- August 2019 (10)
- July 2019 (3)
- June 2019 (8)
- May 2019 (7)
- April 2019 (4)
- March 2019 (6)
- February 2019 (5)
- January 2019 (7)
- December 2018 (5)
- November 2018 (7)
- October 2018 (7)
- September 2018 (10)
- August 2018 (9)
- July 2018 (9)
- June 2018 (9)
- May 2018 (16)
- April 2018 (7)
- March 2018 (10)
- February 2018 (8)
- January 2018 (10)
- December 2017 (11)
- November 2017 (9)
- October 2017 (9)
- September 2017 (10)
- August 2017 (10)
- July 2017 (8)
- June 2017 (8)
- May 2017 (10)
- April 2017 (9)
- March 2017 (10)
- February 2017 (8)
- January 2017 (9)
- December 2016 (11)
- November 2016 (9)
- October 2016 (14)
- September 2016 (12)
- August 2016 (11)
- July 2016 (10)
- June 2016 (12)
- May 2016 (10)
- April 2016 (11)
- March 2016 (11)
- February 2016 (10)
- January 2016 (8)
- December 2015 (13)
- November 2015 (11)
- October 2015 (13)
- September 2015 (16)
- August 2015 (11)
- July 2015 (11)
- June 2015 (12)
- May 2015 (9)
- April 2015 (9)
- March 2015 (10)
- February 2015 (9)
- January 2015 (8)
- December 2014 (10)
- November 2014 (9)
- October 2014 (12)
- September 2014 (9)
- August 2014 (15)
- July 2014 (17)
- June 2014 (19)
- May 2014 (22)
- April 2014 (20)
- March 2014 (16)
- February 2014 (17)
- January 2014 (15)
- December 2013 (10)
- November 2013 (9)
- October 2013 (8)
- September 2013 (15)
- August 2013 (12)
- July 2013 (11)
- June 2013 (12)
- May 2013 (5)
- April 2013 (15)
- March 2013 (14)
- February 2013 (12)
- January 2013 (10)
- December 2012 (13)
- November 2012 (12)
- October 2012 (9)
- September 2012 (12)
- August 2012 (11)
- July 2012 (12)
- June 2012 (12)
- May 2012 (13)
- April 2012 (13)
- March 2012 (10)
- February 2012 (15)
- January 2012 (9)
- December 2011 (12)
- November 2011 (11)
- October 2011 (13)
- September 2011 (10)
- August 2011 (9)
- July 2011 (11)
- June 2011 (28)
- May 2011 (10)
- April 2011 (10)
- March 2011 (11)
- February 2011 (9)
- January 2011 (8)
- December 2010 (11)
- November 2010 (10)
- October 2010 (18)
- September 2010 (13)
- August 2010 (8)
- July 2010 (13)
- June 2010 (12)
- May 2010 (11)
- April 2010 (11)
- March 2010 (12)
- February 2010 (17)
- January 2010 (11)
- December 2009 (15)
- November 2009 (14)
- October 2009 (16)
- September 2009 (13)
- August 2009 (10)
- July 2009 (18)
- June 2009 (15)
- May 2009 (16)
- April 2009 (16)
- March 2009 (15)
- February 2009 (15)
- January 2009 (14)
- December 2008 (16)
- November 2008 (9)
- October 2008 (15)
- September 2008 (13)
- August 2008 (11)
- July 2008 (13)
- June 2008 (18)
- May 2008 (11)
- April 2008 (14)
- March 2008 (17)
- February 2008 (12)
- January 2008 (12)
- December 2007 (20)
- November 2007 (10)
- October 2007 (14)
- September 2007 (15)
- August 2007 (13)
- July 2007 (20)
- June 2007 (15)
- May 2007 (17)
- April 2007 (18)
- March 2007 (19)
- February 2007 (18)
- January 2007 (16)
- December 2006 (16)
- November 2006 (22)
- October 2006 (23)
- September 2006 (21)
- August 2006 (25)
- July 2006 (22)
- June 2006 (25)
- May 2006 (23)
- April 2006 (20)
- March 2006 (22)
- February 2006 (19)
- January 2006 (15)
- December 2005 (15)
- November 2005 (14)
- October 2005 (18)
- September 2005 (11)
- August 2005 (10)
- July 2005 (10)
- June 2005 (11)
- May 2005 (13)
- April 2005 (9)
- March 2005 (2)
- January 2005 (2)
- December 2004 (2)
- November 2004 (2)
- October 2004 (1)
- September 2004 (1)
- August 2004 (3)
- July 2004 (1)
- June 2004 (1)
- May 2004 (2)